XaaSとサービス・ドミナント・ロジックによる新たなマーケティング
2019-05-07
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こんにちは、さとうさとです。

クラウドサービスで頻出する「XaaS」について関連するマーケティング思想と絡めた解説をします。

XaaSの解説

XaaSとは

以下にXaaSの概念図を示します。


図 1 XaaSの概念図

XaaSとは以下のように定義されています。

 ・「何らかの資源」をインターネット経由でサービスとして提供すること。また、そうしたサービスの総称。

・“X” as a Serviceの略語で、”X”は未知の値を指す。

・”X”には任意のサービスの単語の頭文字が挿入される。

<例>
 ・SaaS(Software as a Service)

 ・MaaS(Mobility-as-a-Service)

多くのサイトでは「何らかの資源」は情報処理に用いられるコンピューティング資源に限定しています。

しかし、MaaSのように交通・移動手段といった資源を指すことも見られるようになったため、ここではコンピュータ資源に限定せず、「何らかの資源」といった表現にしています。

XaaSはマーケティング思想が「モノ中心」から「サービス中心」に変化する中で生まれたサービスの1つです。

そこで、前述のMaaSを例にそのマーケティング思想について少し紹介します。

XaaSとマーケティング思想

先ほどのマーケティング思想は以下のように呼ばれています。

 ・「モノ中心」マーケティング思想:グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)

 ・「サービス中心」マーケティング思想:サービス・ドミナント・ロジック(SDL)

参考文献により、GDLとSDLの考え方をまとめた表を以下に示します。


図 2 GDLとSDLの考え方

(公益社団法人 経済同友会の図を基に作成)

このようにモノとサービスを区別することなく、顧客に提供されるものを全てサービスと捉え、顧客が提供されたものを使用していく中で感じる価値を重視しようという考え方がSDLです。

一方で、先ほど名前のみ出てきたMaaSは総務省によると、以下のように定義されています。

電車やバス、飛行機など複数の交通手段を乗り継いで移動する際、それらを跨いだ移動ルートは検索可能となりましたが、予約や運賃の支払いは、各事業者に対して個別に行う必要があります。
このような仕組みを、手元のスマートフォン等から検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、また移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立っているサービスがMaaSです。

図3と図4に示すように移動サービスの考え方がSDL寄りになり、全ての移動手段をサービスとして統合されたものがMaaSという風に捉えることができます。


図 3 GDLと移動サービス


図 4 SDLとMaaS

他のXaaSもSDLの考え方に倣って、今まで“モノ単体で売っていた製品”を“モノを伴うサービス”として提供し始めたものだというふうに捉えることができます。

そのため、現在“モノ単体で売っている製品”を、サービスを伴って提供することができれば、新たなXaaS市場を築けるかもしれません。

参考文献

XaaS関連

https://www.weblio.jp/content/X+as+a+Service

https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-glossary/xaas.jsp

サービス・ドミナント・ロジック関連

http://www.j-mac.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2013/11/research4_taguchi.pdf

https://core.ac.uk/download/pdf/71787811.pdf

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2011/pdf/110602a.pdf

https://www.sdlogic.net/uploads/3/4/0/3/34033484/ctf_sdl_workshop_october_17_2018.pdf