中国のキャッシュレス事情を体感してみた
2019-07-30
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視察して見えてきた中国の実情

初めまして!2019年6月にFIXERに入社しましたcloud.config Div野々村です。まだ入社して2ヶ月弱ですが、会社のスピードが速く1年位いる感覚に襲われております。

前職では、金融(FinTech)の新規営業をしており、「中国のキャッシュレスは凄い!」と記事は色々と見ますが、 何事も体験(やってみる)!と顧客の幹部と中国FinTech体感ツアーを企画し深圳(しんせん)と上海を視察した際の話を交えながら実情をお話しします。

屋台にもマクドナルドにもQRコードが

視察した感想は、基本的に現金は使うことはなく、様々なものにQRコードが印刷されており、決済だけでなく、お店の予約から占いまでスマホがないと生きていけないと感じました。また、街はキレイで皆親切丁寧!いい人ばかりで、中国のファンになりました。これを紐解いていくとキャッシュレスのと密接な関係がありました。

アリペイの出現が国民の風土を変えた

様々なサービスを展開しているアリババグループ
出典: https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1577552/000104746916013400/a2228766z20-f.htm

元々中国は、偽物、偽札が横行、騙される人が悪い、という状況でした。
そこに登場したのが「アリババグループ」です。
ネットショッピングにお店、購入者の評価制度を組み入れ、安心して通販ができる風土を作りました。

そこから、ネットに留まらずQRコード決済「アリペイ(Alipay)」を開始すると、お札が汚い上に偽札が多い「現金」は利用者だけでなく、お店からも敬遠され、導入コストも安いことから一気に普及しました。
中国では、クレジットの「銀聯(ぎんれん)」、QRコード決済の「アリペイ」、SNSでシェアのある「ウィチャットペイ(WeChatPay、微信支付)」でキャッシュレス割合が9割以上を占めるようになりました。
(ちなみに日本では、キャッシュレス割合は2割ほど)

中国に行って驚いたのは、クレジットの国際ブランドのVISA、Masterがホテルくらいしか使えず、殆どがQRコード決済になっていました。
前職の中国支社代表の人に聞くと、国際ブランドを利用するとアメリカにお金が流れる事と後に説明する信用情報のため、国を揚げて「QRコード決済」に取り組んでいるとの事です。

至る所にシェアサイクル スマホでQRコードを読取って決済すると解錠される

アリババグループでは、事業を拡大し保険や宅配、様々なシェアサービスを展開しています。 例えばシェアサイクルは、自転車の購入費を回収するためには3年ほど掛かりますが、1年で廃車になってしまうとの事です。

他にもスマホバッテリー、傘など色々なシェアサービスがありますが、単体では事業収支は出ていません。 事業単体での収支は見込んでいなく、個人の行動情報を収集し、スコアリングのためにデータ収集することが目的です。
(日本でシェアサイクルの事業を始めて収支が出ず撤退とかありましたが、根本的な考えが違いますね。)

個人の信用情報により良い行動へ…

スマホで自分の信用情報を確認できる
出典: http://tamakino.hatenablog.com/entry/2018/03/06/080000

中国では今、個人の信用情報を活用し、人々の日常行動を管理する動きが加速しています。 政府と民間企業が協力して全ての国民の信用情報を収集、分析し、「信用」をベースに人々の行動を変えていっています。

アリペイでは「芝麻信用(ゴマシンヨウ)」という信用度を5つ(身分特質/履約能力/信用歴史/人脈関係/行為偏好)のカテゴリで信用度を点数化しています。
個人の信用度によって個人の「できること」に大きな格差がつきます。

信用度が高ければ、生活の様々な面でメリットを享受できる反面、信用度が低いと「シェアサイクルの値段が変わる」「ローンの利率が高くなる」政府とも連動しており、「犯罪履歴等あるとパスポートが発行できない」などといった事態が現実化してきています。 悪いことをするとリスクが大きすぎるのでできない…結果、品行方正な中国人が多くなります。

すべてレジはセルフ

アリババのリアル店舗がオープンしたとの事で視察に行きました。
店舗といっても倉庫も兼ねており、客より商品をピックアップする店員の方が多く、ECで注文があった商品をかごに入れて、天井を流れるコンベアーにどんどん流していきます。
レジはセルフで警備員などはいません。

店員に「簡単に万引きできてしまうが大丈夫なのか?」と質問したところ、「そんなリスクの高いこと誰もしないよ」と…

中国はカメラが至る所についている監視社会で、顔認識が進んでおり、後で罪に問われるとの事。

信用度を上げるために、少しでもQRコード決済をしたいとの要望が強くなり、訪日中国人向けにアリペイ等導入が加速しています。

活きた蟹にもQRコードが

日本でもスコアリングが導入される日も近い

AIスコアレンディングサービス「J.Score」
出典: https://www.jscore.co.jp/

アメリカでは、クレジット信用情報の「FICOスコア」がありますが、日本ではまだ明確に行っているところはありません。
日本では、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社が「J.Score(ジェイスコア)」というAIスコアリングのサービスを始めています。
ローンの金利優遇くらいしかないですが、イメージをつかむためにぜひやってみてください。

近い将来、日本でも個人のスコアリングが導入されてくると推察されます。
品行方正な人が増える一方、一度でも悪いことをすると、負のスパイラルで抜け出せなくなる「バーチャル・スラム」で個人格差が問題になるかもしれません。

その他、華為(ファーウェイ)のCFOとも会談したり、無人コンビニの視察や、上海金融情報局のトップとも会いましたので機会があればご紹介したいと思います。

[おまけ]食材には基本は着色してあるのでナチュラルカラーの日本食は人気があるとのこと