TechSummit2018 CI29「Azure Monitor の進化とコンテナー監視」聴講

Tech Summit 2018の3日目に参加して、自身の業務に関連するセッションである「Azure Monitor の進化とコンテナー監視」を聴講してきました。
登壇者の原田さんはレドモンド本社でAzureのMonitorサービスを扱っているとのことです。
■セッションレビュー
前段として、Azure Monitorそのものについて説明がありました。
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Azure Monitorの特徴として以下の3つの説明がありました。
・Unified Monitoring
 すべてのメトリクスとログを共通プラットフォームで
・Data Driven Insights
 機械学習を用いた高度な分析と監視
・Workflow Integrations
 DevOps、問題管理、SIEM、ITSMツールとの連携
3つ目の「Workflow Integrations」を見て、自社で活用しているITSMツールなんかと連携できたらおもしろいかも。
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Azure Monitorの統合監視についても1枚絵で解説されていました。
いろいろな場所で見せている絵だとは思いますが、様々なAzureリソースからメトリクスやログを取得して、5つのカテゴリーで活用することを解説していました。
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「Full Stack Visibility in Resource Groups」について紹介がありました。
詳細なリソース監視をするというよりはリソースグループ配下のリソースのヘルスチェックを主にしているように見受けられました。
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「Azure Monitor for VMs」の説明では、「for VMs」とあるように、
VMにスポットをあてた機能になっております。
画面からですが、かなり詳細に監視ができてるような印象をうけました。
ここまでは前段でしたが、
これ以降は本題のコンテナ監視についての説明を始めていました。
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最初は「フルスタック監視」について、
インフラ監視とアプリケーション監視ってできてるけどコンテナの監視は?の投げかけがありました。
コンテナ監視が難しい理由について以下4つがあります。
・作成・起動・停止のいずれも非常に短時間
・統合環境による「うるさい隣人」問題
・コンテナのイメージ、状態、稼働場所のトラッキングが難しい
・1か所でコンテナ環境を監視するツールが内蔵されていない
コンテナ監視の難しさとは反対に、コンテナ監視の需要は高いといろいろなお客様から要望をいただいているようです。
・アプリの障害がクラスターの問題なのかを見極めたい
・問題提起をしてくれる監視ツールが欲しい
・クラスター内をドリルダウンができ、フィルターかけたい
・デベロッパーのkubectlなどクラスターへのアクセスを制限したい
・監視システムの管理に人件費や手間をかけたくない
・Azure上でkubernetesを使っているなら、Azureの監視ツールを使いたい
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コンテナを監視したいという要望から、「Azure Monitor for Containers(プレビュー)」が誕生しました。
これは先ほどの「Azure Monitor for VMs」と同様に、Azure Monitorの1機能としてあります。
視覚的にわかりやすく、一目で障害の有無を確認できて、DevOpsとも連携できるということで
利用できるものにはなっているという印象を受けました。kubernetesイベントとContainer logも解析できるのも良い点だと思います。
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最後にAzure Monitorのロードマップを出していましたが、
「Azure Monitor for Containers」を来年の早い段階でGAしたい話と、
「Azure Monitor for Containers」を使ってみて、フィードバックをくださいと付け加えていました。
■Ask the Speaker
 セッション終了後、原田さんにAzure Monitor for ContainersなどのAPI提供について聞いてみましたが、あまり考えてないということ。
マイクロソフトの考えとしては、zabbixなどのサードパーティ監視サービスを使うのではなく「Azure Monitor」
サービスを利用しほしいと話されていました。
サードパーティの監視サービスは管理が大変なので、それを解消できるような
各Azureサービスのに寄り添ったMonitorサービスを出していきたいとのことです。
「Azure Monitor for WebApps」とかがでる日も遠くないかもしれないですね

Tech Summit参加レポート(BZ07) 三越日本橋本店の「デジタル×おもてなし」で小売業混沌の時代を突破する!

斬新、革新、イノベーション!

そんな言葉を並び立てれば、浮かんでくるのはApple、Amazon、Netflixとやっぱり海外企業に押され気味。いやいや、ちょっと待ってください。江戸時代に新しすぎる切り口で町人をアッと言わせたお店があったはず……

と、脳内で戦っている、GBAの奥山です。

今回もTech Summitのビジネストラックより、デジタルトランスフォーメーションを成し遂げた日本企業のセッション内容をご紹介させていただきます。

345年間、常識破りのビジネスでお客様をアッと言わせ続ける日本の老舗、皆様思いついたでしょうか? ヒントはどうしてか「お主も悪よのぅ……」と悪代官に言われるイメージが定着してしまった呉服屋さん。

そう、今回ご紹介するのは越後屋さん改め〈三越〉です!

しかし皆様、誤解なされまするな。〈越後屋〉は越後の国から出てきた商人なら誰でも名乗れますので、このセリフの越後屋さんと三越百貨店に直接的な関係はございません。三越はお客様第一主義、〈まごころの精神〉をモットーに、345年間お客様のニーズに全身全霊で答えてきた老舗百貨店でございます。

〈老舗〉と〈イノベーション〉の二言を隣に並べて考えるのは中々難しいのですが、三越といえば反物単位での販売や、値切られることを想定しての高めの価格設定、お客様のお屋敷への訪問販売が主流だった江戸時代の呉服界で、切り売り、定価、店先販売を始めたザ・イノベーティブカンパニー。ちなみに現銀掛値なし(現金掛値なし)といって始めた定価販売は日本どころか世界初です。

実はプレゼンスライドの作り方に私はアッと驚かされました。失礼ながら老舗百貨店といえばイメージ的にもお堅い古臭い感じの資料が出てくるのだと思っていました。しかし出てきたのはスティーブ・ジョブズと同じく、最低限の文字数に、ビジュアルで見せる作りのスタイリッシュなスライド。これだけで、なるほど、DXに成功した企業……と妙な説得力がありました。

そろそろ三越とAppleが皆様の脳内で並び始めた頃合いでしょうか?

しかしAmazonや楽天などのECが当たり前となった現代、日本では脱百貨店が進んでおります。

どうにか打開策はないものか、お客様の心を取り戻す道はいずこ……

そんな三越が掲げたのが――

デジタル×おもてなし

テクノロジーを利用してリアル店舗の価値を最大化させるというコンセプトです。

まごころの精神は保持したまま、お客様との接点を今までと変えて〈いまだけ、ここだけ、あなただけ〉という一期一会を提供しようと決断したのです。「『いつでも、どこでも、誰でも』のデジタルの真逆を行っていますね」と三越日本橋本店長の浅賀さんは苦笑気味に言いました。市場の主流に逆らう驚きの三越、再来です。百貨店はハイテクでお客様を圧倒するビジネスではありません。デジタルは裏方に、と考えた三越はまず社内IT化を目指しました。スケジュールの共有にOutlookを、商品・店内情報の共有にYammerを、申請などの業務のデジタル化にTeamsを。こうして経費、時間の削減に成功。デジタル申請は用紙削減率99%を達成、時間はなんと30分から2分まで短縮できるようになったというのですから、DXの強みを今一度思い知らされますね。

また、ショップの垣根を超えた提案をすることで、スムーズでシームレスなお買い物をお客様に提供する新システムを確立しました。ここで非常に興味深いなと思ったのは、従業員の年齢層が高いという百貨店特有の問題。デジタル化に乗り気でなかった社員も、まずは身近なところからと社内情報共有にYammerを使い始めたところ、TwitterやFacebookなども似たようなものだからできそうだと自信を持ち、それまで上手くいっていなかったお客様への広報活動にすんなりと繋げられたのだそうです。

身近な業務のIT化というワンクッションを挟んで、外へと拡大するデジタル適応プロセス。急速に高齢化している日本社会の明るい将来の為のいいヒントに思えます。従業員の年齢層が百貨店ほど高くはなくても、伝統的なビジネスや、ルールが厳しくデジタル化に中々踏み出せないビジネスなどであっても形を変えて適用できそうですね。Lift& Shiftでお客様のクラウド化を手助けするFixerにとっても遠い海の向こうの話ではございません。クラウドで何をするのかではなく、どうしてするのかを周知し、企業全体の理解を得るのがDX成功へのカギでしょうか?

さて、裏方に置かれたデジタルの影響は、表にも色濃く出ています。

近未来的な新デザインの内装でも和の心は忘れずに、旅館をイメージして玄関では迎え花、受付では着物の女将がお出迎え。そんな10月にグランドオープンされた日本橋三越では、パーソナルショッピングデスクというシステムが導入されました。今までショップごとにいた販売員が、お客様一人一人にコンシェルジュとして付き、個別にお話を聞いて、ブランドやアイテムの垣根を越えたトータルコーディネートをします。この新システムで三越は〈人〉、〈環境〉、〈サービス〉のすべてを繋げる、次世代百貨店となったのです。

この〈すべてを繋げる〉というアイデアが三越の改革に大きく貢献したような気がします。Fixer内でもクラウド導入・監視・運用から、金融向けクラウド、はたまた今回のイベントでハンズオンセッションを行ったAIを用いた次世代コンテンツマネジメントシステムなど様々なカテゴリーでプロジェクトを行っておりますが、それらを組み合わせ、繋ぎ合わせ、Fixerだからこそできるおもてなし、Fixerだからこそ応えられるお客様のニーズというものの確立こそフルマネージドサービスプロバイダーの神髄かもしれません。〈いつでも、どこでも、誰とでも〉というデジタルの繋げる力を最大に生かし、企業の強みを集めてコア・コンピタンスに育てあげ、〈今だけ、ここだけ、あなただけ〉のおもてなしをする。急速に変わりゆく世界の中で〈変えるもの〉、〈変わらないもの〉のバランスがこれからどうなっていくのか、気になるところです。

Tech Summit 参加レポート(CI17)(VDI環境最新化のシナリオ – MicrosoftのVDI戦略)

〇はじめに

クラウドソリューションエンジニアの藤井です。
Tech Summit 2018で受講したセッション「VDI環境最新化のシナリオ – MicrosoftのVDI戦略」について、ご紹介します。

〇VDIとは何か

そもそもVDI(仮想デスクトップ方式)とは何かを理解する上で、SBC(ターミナルサービス方式)も関連して解説します。

・VDI(仮想デスクトップ方式)

ユーザーごとに独立して構築された仮想OS環境に、リモートでログオンして利用します。OSはクライアントOSが利用されます。仮想OS環境のローカルドライブにファイルを保存することや、アプリケーションをインストールすることもできるため、同じユーザーが継続的に利用する場合に適しています。CPUやメモリなどのリソースを占有で割り当てるため、スペック要件の高いアプリケーションを利用する場合に適しています。

・SBC(ターミナルサービス方式)

複数のユーザーが同じOS環境を共有して利用します。OSはサーバーOSが利用されます。CPUやメモリなどのリソースを共有することで効率よく利用したい場合や、ホストOSにアプリケーションをインストールすることで、共通のアプリケーションを利用したい場合に適しています。

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〇クラウド上のVDIが今、注目される背景

2017年8月のライセンス規約改定により、Windows のクライアントOSの仮想環境をパブリッククラウド環境(複数のユーザー企業がホストOSをシェアするマルチテナント環境)で利用することが解禁されたことが、注目されている背景です。

従来はサーバーOSを利用する他に選択肢が無いため、SBC方式を選択するか、もしVDI方式にこだわるのであれば、サーバーOSをカスタマイズしてクライアントOSのデスクトップエクスペリエンスに近づける必要がありました。解禁前の2014年時点では、AWSのWorkspacesでは、デスクトップエクスペリエンスをWindows 7のようにカスタマイズしたWindows Server 2008R2(Datacenter Edition)が利用されていました。

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クラウド環境を利用することで、ハードウェアやネットワークの管理から解放されるメリットを享受できる点は、サーバー環境をクラウドに移行する場合と同様です。

 

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〇Azure上でVDI利用について

Azure上でVDI環境を構築する場合は、以下の選択肢から検討します。

(1)Windows Virtual Desktop(※)
(2)VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure
(3)Citrix Cloud on Microsoft Azure
※2018年11月27日現在、プレビュー段階

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基本的な機能のみ利用する場合はWindows Virtual Desktopを選択し、より高度な管理機能などを利用したい場合はVMwareやCitrixの製品を選択することが想定されています。

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Azure上でVDIを利用するメリットはOffice 365とAzreuがバックボーで接続されており、例えばOne Driveで大容量のファイルを操作する場合でも快適に利用できます。

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さらにWindows Virtual Desktopを選択する場合、Office 365のライセンスで使用できます。特に端末側が通常のPCである場合、Windows OSのライセンスを二重で購入することを回避できます。

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Tech Summit 参加レポート(AD09)(Linuxユーザが扱うAzure Resource Manager Templateの活用方法)

〇はじめに

クラウドソリューションエンジニアの藤井です。
Tech Summit 2018で受講したセッション「Linuxユーザが扱うAzure Resource Manager Templateの活用方法」について、ご紹介します。
セッション内の様々なトピックスから抜粋してご紹介し、Azure Resource Manager Template(以下、ARM Template)を、藤井が過去の案件で利用した時の経験も補足いたします。

〇ARM Templateとは何か

ARM TemplateとはAzure Resource Manager(ARM)モデル(※)として、デプロイされた各リソースの情報を、json形式でテンプレート化したものです。
各リソースの設定だけでなく、リソース同士の依存関係もテンプレートの情報に含まれています。
既存の環境の構成をバックアップできることに加えて、開発用や本番用などとして同じ構成の環境を、繰り返し複製することができます。

※Micorosoft Azureで提供されている各種サービスは、大別して2種類に分かれます。
2010年にAzureのサービスが開始された時から提供されているAzure Service  Manager(ASM)モデルという区分と、2015年から提供が開始されたAzure Resource Manager(ARM)モデルという区分が存在します。

〇セッション内容の紹介

トピックス①パラメータファイルの分割について

ARM Templateでは「本体ファイル」とは別の「パラメータファイル」として、一部の値を記載し「本体ファイル」に読み込ませることができます。
社内共通で必ず設定する値を「本体ファイル」に記載し、利用者ごとに変更するような値を「パラメーター」ファイルに記載することで、各利用者が「本体ファイル」の値を不用意に
変更しないようにすることができます。

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トピックス②デプロイは40分でタイムアウトし、ロールバックはされない

構築が一部のリソースのみ成功した場合、成功したリソースはリソースグループに残される。一部が失敗した後に、同じリソースグループへ再実行して全て成功した場合、作成済みのリソースはスキップされ、未作成のリソースのみ追加されます。
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トピックス③リソースの依存関係について

複数のリソースを作成する場合に、作成する順番をARM Templateファイル内で”dependson”として制御する必要がある場合があります。何も指定が無い場合、リソースは常に同時に作成されます。例えば、仮想マシンは仮想ネットワークに対して登録されるので、仮想ネットワークが先に作成されるように制御します。
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トピックス④ループ処理を利用する

「ループ処理」の機能を利用することで、「Code as a Infrastructure」としてプログラムのように処理を組むこともできます。例えば、クラスター環境で仮想マシンを大量に構築するときに有用です。同じ設定の仮想マシンを「ループ処理」で構築するプログラムを組むことで、作成する仮想マシンの台数を「ループ処理」の実行回数として柔軟に増減させることができます。
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トピックス⑤JSONファイルの編集

JSONファイルを直接に編集するのが大変なケースも多いので、linuxユーザーにはなじみのあるYAML形式で作成して、変換する方法方も公開されています。
https://github.com/TeamYARM/YARM-CLI
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〇藤井の経験則から補足

トピックス①パラメータファイルの分割について

セッション内で紹介されているケースとは逆に、利用者数が少なかったり、
特定のチームに限定される場合は、「パラメーターファイル」を使用せず、
全て「本体ファイル」で完結させた方が、簡便です。

トピックス②デプロイは40分でタイムアウトし、ロールバックはされない

リソースの種類数が多いときは、種類別に分割してARM Templateを設計することがお勧めです。修正を加えてテストするときに、対象の範囲を絞ることができます。

トピックス③リソースの依存関係について

設計時の肝要になるポイントです。
作成されるリソースの順序関係を指定した場合、前の順番のリソースの作成が完了してから、次のリソースの作成が開始されるため、全体の完了時間を左右します。
不要な設定をすると、完了に時間がかかります。

トピックス④ループ処理を利用する

ARM Templateの利用するメリットが最も発揮される機能です。藤井が対応したケースでは、100台以上のサーバーを同一のマスターイメージから大量に作成し、コンピューター名やIPアドレスなどを連番で割り振るように実装しました。ループ処理の回数などの実行条件を、利用することで、仮想マシンのリソース名を「1号機、2号機・・・」と連番で割り振るといったこともできます。

トピックス⑤JSONファイルの編集

セッションで紹介のあった方法以外に、エディターから直に編集するときは、Visual Studio Codeを利用すると、インテリセンスによる入力が利用できとても便利です。

〇その他

セッション内で説明のあったトピックス以外に捕捉すると、SSH接続にパスワードを使うパターンだけでなく、認証鍵を使うパターンでも同様に構築ができた実績があります。

TechSummit2018 DA08「性能問題を起こしにくい信頼されるクラウドRDBのつくりかた」を聞いて 後編

こんにちは、南條です。

前回の投稿からtechsummit2018のセッション、DA08「性能問題を起こしにくい信頼されるクラウドRDBのつくりかた」のレポートを前後編に分けて行ってきました。
前編では、クラウドRDBの性能低下を防ぐために、ストレージシステム構成時にどのようなことができるかについてまとめてきました。
後編では、ストレージシステムを動かし始めてから運用中に起きる性能低下に対して、どのようなことができるかについてまとめていきたいと思います。 続きを読む

Tech Summit参加レポート(BZ06)「創造型ワークへのシフト」21世紀型問題をどう解決するか

入社から二か月半、ITについて学ぶ道のりはまだまだ長いGBAの奥山です。こんにちはの方も初めましての方も、今日は名前を憶えてからブラウザを閉じてくださいませ。

さて、他の皆様も書いておりますTech Summit 2018のセッションですが、ビジネストラックと呼ばれる、テクノロジー自体の話というよりは、それをどのように使ってビジネスを発展させていくかに重点を置いた、私に非常に優しい系列のものに参加してきましたので、Tech Blogと題打ってあります、こちらのブログサイトに思い切りビジネス視点だけで参戦でございます。

今回ご紹介させていただくのは米国のSteelcase社、ブランドン・ピータースさんによる、

「創造型ワークへのシフト」21世紀型問題をどう解決するか

というセッションです。

タイトルを見ただけでは正直言って何ぞや? という感じです。21世紀型問題って何でしょう。テロやら地球温暖化あたりが浮かんでくるばかり。

しかし〈創造型ワークへのシフト〉という言葉に目を惹かれ、また、数少ないIT知識がなくても聞けるビジネストラックとくれば、どれどれ、ちょいとまぁ、お話を……というわけでして。

そんな予備知識があまりない中で始まったセッション。ブランドンさんは観客をゆっくり見回し、快活な笑顔を浮かべて話し始めました。

~過去50年、ビジネスが重点を置いていたのは運用であり、最適化だけを追い求めていた。しかしここ近年、状況はどんどん変わり、今、ビジネスに求められているのは創造性である。新たな環境で、新たな解決策を創造する能力。それを従業員に与えることができる文化、オフィス環境、そして、テクノロジー。21世紀は、何よりも創造型ワークが求められる新時代である。~

ざぁっっくりまとめるとこんな始まり方。何を隠そう、大学院ではクリエイティブイノベーション特化クラスを取っていた私は、この時点で一心不乱にペンを走らせておりました。(こんなイノベーションの欠片もないアナログなことをやっていたのは私くらいで、周りは皆さんパソコンや携帯でメモを取っていましたが……少なくともペンはフリクション!)

大体の人がプレゼンにのめり込み始めた頃合いで、ブランドンさんはこれまた魅力的なスタイリッシュ・スライドで鍵となるアイデアを示しました。

〈場〉は〈振る舞い〉になる。

〈振る舞い〉は長い時間をかけて〈文化〉となる。

ここで重要なのはSteelcase社がオフィス用家具メーカーということですね。

つまり、この第一ステップである〈場〉を作るプロフェッショナル集団というわけです。

21世紀型問題には4つの焦点があるのだと、達人はメイントピックへ進んでいきます。

その4つとは――

・文化

・テクノロジー

・人

・場

これらがDrivers(原動力)、そしてDisruptors(破壊者)として21世紀に旋風を巻き起こしているようです。

破壊者というと聞こえは悪いですが、これ、つまりは型破り。伝統的なビジネスを破壊するほど型破りで斬新なビジネスのこと。AppleのiPodなんかはいい例です。あれがなければ未だにお外でも好きな音楽を聴く為にサイズが何周りも大きいパーカー着たヒップホップなお兄さんが重たいラジカセを肩に担ぐ伝統的な手法で首を振りながら道を歩いていたでしょうから。(テクノロジーが発展してラジカセがちょっとばかり軽く、小さくなってもiPodのようにそれまでのビジネスの流れを破壊しちゃいません)

さてさて、余談はともかく、4つの焦点。

〈文化〉は近年職場も多様化してきましたねというお話がメイン。外国人従業員だったり、年齢だったり、Skypeなんかを使った会議ができるようになったことからの働き場所の多様化だったり。チームで働くのか、個人主義なのか。チームで働くのなら一緒に働く理由とは? 目的とは?

多様化に合わせて職場の〈カスタマイズ〉の観点が重要になってきました。

職場環境や企業文化をカスタマイズしていこうという従業員の積極性が高ければ高いほど従業員の満足度も上がるそうなのですが、残念なことに統計では日本は最下位。つまりは積極性も満足度も……これにはちょっとドキッとしますね。

そして2番目の焦点に、待ってましたテクノロジー! ここでちょっと残酷な統計データが出されてしまいました。

ずばり、今から学校へ上がる子供たち。その65%が現在まだ存在していない仕事に就くことになるそうです。

ぼんやりとそんな気はしていましたが、数字で出ると怖いですね。しかも過半数! 新しい仕事の大部分はクリエイティブな、つまり創造型ワークとなる模様。しかし現在の企業リーダーたちの61%は自分たちの会社の創造性は十分じゃないと自認しているそうな。

でもこの認識、〈創造性〉とは何かという考え方によって結果が大きく変わるんじゃないかと思ってみたり。創造というとビッグバンのように無から有を生む、圧倒的な変化を考えがちですが、だからといってビッグバンが百回二百回起こるわけがありません。クリエイティブさを追い求めるビジネスがよく陥る罠です。

もちろんブランドンさんも様々な企業がこの部分が誤認されていることを知っていますから、クリエイティブプロセスとは何なのかとじっくり説明してくれたのですが、長いので一番重要だと思う、考え方の種類についての話を抜粋。

創造をサポートする思考方法は大きく二種類、Divergent(拡散型)とConvergent(収束型)。拡散型はブレインストーミングのようにアイデアを大量に出していき、その中で一番いいアイデアを見つける方式。収束型はもっと理論的で、様々な情報を元に合っている可能性が一番高い答えを導く選択問題みたいな方式。

クリエイティブといえば拡散型な感じもしますが、収束型もかなぁり重要。iPodの例に戻れば、MP3やポータブルメディアプレーヤーなど様々な既存テクノロジーを組み合わせ、新しい使い方や価値観を創造した収束型思考。つまり創造とは、完全に新しいコアを作るビッグバン理論ではなく、既存のコアを組み合わせ新しい顧客のニーズに新しい切り口で答える、言ってしまえば仏教の宗派枝分かれみたいな考え方でもよいのです。(あちらも色々な意味でライフチェンジングな創造的思考)

じゃあこんな思考をサポートしてくれるような〈人〉と〈場〉の条件とはどんなもの?

解明の為、Steelcase社はマイクロソフトと共同ワークショップを行いました。

オフィスのど真ん中にソファーを置いてみたり、小さい丸椅子をそこかしこに散らばしてみたり。人の表情がよく見えるようにするべきか。プライバシーを与えるべきか。ミーティングは立ってカジュアルに? それとも座ってゆっくりと? 大画面やホワイトボードを使ってヴィジュアル化するべきか。デジタル、もしくはアナログ? 人対人、人対テクノロジー? 様々なオフィス環境を作り上げ、それがどの程度従業員の創造性を左右するか実験したのです。

その結果や今までの経験から導き出されたのは?

〈人〉の焦点の答えは一言でいうと、元気が一番! 元気で健康的な環境を提供しましょ、とそういう話。Steelcase社は昔からこれにはかなり重点を置いていますので、再確認。そして面白いことに、オフィスは自然素材で作り上げる方が生産性が上がるのだそう。FIXERのデスクも木目が優しいですね。神棚の隣には巨大な植物もありますし。自然があればリラックスがしやすいのでしょうか。

そしてSteelcaseの十八番、〈場〉とは文化と統率を提供するエコシステムのこと。テクノロジーが場を最適化し、場がテクノロジーを最適化する、というコンセプトを元に、テクノロジーを用いて人と文化を繋げ、創造の場を作り上げるのがSteelcase社の目標であるようです。

話はここで終わり、何だか色々と語ったけれど、話があちらこちらに行ってふわってしていて尻切れトンボ。結論は? と少しばかり不満げに、もう時間なのかと時計をちらり。

が、勿論これで終わりだなんて、然うは問屋が卸しません。ブランドンさんは「最後にこれを見てほしい」と大画面一杯にビデオを表示。Steelcase社がデザイン協力をしたマイクロソフトのSurface Hub 2のプロモーションでした。

〈拡散〉していた全てのアイデアがこの2分半に〈収束〉されている圧巻の映像!

長々と書きましたが、実はこれだけ見ればSteelcase社の21世紀型問題へのアプローチはわかってしまいます。というわけで、ここまで読んでくださった優しい皆さん、あと2分半、私にください。

それでは、どうぞ!

Introducing Microsoft Surface Hub 2

Tech Summit 参加レポート(CI33)

今、0からセキュリティ対策を考えると、どうしますか?

良い投げかけだと思い、参加してきました。
多層防御でソリューションを追加し、対応策を取った人達には、かなり共感が持てるはず。
噛みしめながら話を聞いていました。(私もそんなことをしてたので) 続きを読む