RFC1149は本当にネタRFCなのか?
2019-08-09
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こんにちは!ここ数日の暑さで心が折れかけている、FIXERアルバイトの門下です。今回はRFC(Request For Comments、プロトコル等の技術仕様書)について書いてみようと思います。

はじめに

「ビッグデータ」というワードが一般的になりつつある今日、どこのご家庭でもPB(ペタバイト)級のデータをお持ちのことかと思います。 このデータを「クラウドに移行したい!!」となったら、皆さんはどうしますか???

  1. サーバーを担いでデータセンターに持っていく
  2. インターネット経由で転送する
  3. 伝書鳩にお願いする

おそらく2番を選ぶ方が多いのではないでしょうか? ですが、データのサイズはペタバイト、高速な回線を使っても転送に何日もかかってしまうかもしれません。

Azure Data Boxというソリューション

そこで、「Azure Data Box」の出番です! Azure Data Boxはその名の通り、「データを箱に入れてデータセンターに持っていく」Azureのサービスです。Azure Data Boxは数十TB~1PB程度のデータを一つのBoxに入れて、Azureのデータセンターに送り、データセンターでデータを移行してくれます。もちろん、Boxに入れるデータは暗号化されます。

このように、高速な回線が無かったり、転送するデータが大きい際に物理的にデータを移動させることを「スニーカーネット」といいます。

これってRFC1149じゃん!!

ネットワークについて勉強したことがある方にとっては、RFC1149は有名なRFCの一つだと思います。RFC1149「鳥類キャリアによるIP」は、IP通信を伝書鳩を介して行う通信規格を記述した文章です。

Avian carriers can provide high delay, low throughput, and low altitude service. (鳥類キャリアは高遅延、低スループット、低高度のサービスです)

衝突回避(物理)

The carriers have an intrinsic collision avoidance system, which increases availability. (キャリアは、可用性を向上させるための固有の衝突回避システムを持っています)

ワーム検出・除去(物理)

An additional property is built-in worm detection and eradication. (加えて、ワームの検出と除去が組み込まれています)

「ふざけているのか?」と思われるかもしれませんが、文章自体は真面目に書かれています。つい先日、南アフリカで伝書鳩を用いてデータ転送を行う実験が行われました。(伝書鳩の方がインターネット回線よりも早かったようです)

このように、RFC1149はネタのように見えて、意外と実用的なRFCといえます。インターネット回線の速度も1Gbps、10Gbpsが当たり前になりつつある現代ですが、「物理的に運んでしまった方が早い」というのはちょっと面白いですよね。

もちろん、Azure Data Boxでは伝書鳩がデータを運ぶわけではないので、安全に、そして確実にデータを運んでくれます。気軽に使えるサービスではないですが(私も使ったことはないです)、オンプレからクラウドに移行することがあれば、利用を検討されてみてはいかがでしょうか?