こんにちは笹尾です。
チームビルディングを語ると本当にそんなにチームビルディングって大切なの?
会社の利益優先で良いんじゃない?(結局、会社の事情によるんじゃない?)
と、聞かれることがあります。
チームビルディングをしている身としては、そのような質問に悲しくなることは度々あるのですが、、、
結局落ち着く結論は、チームとして心理的安全性が確保され、自律的で快適で無意識に成長できて、メンバーにとって有益な仕事が途切れない、最高のチームを体験していない人にはチームの価値がわかりにくい事が原因だということです。
本来は体験してもらうのが良いかと思いますが、ブログではなかなか難しいので、今回はそのチームの価値を外部の評価として見てみましょう。
この記事は僕自身の価値観、将来展望を大きく含んでいますので、参考程度に捉えていただければと思います。
転職市場と言う外部視点
転職市場はある面でドライな客観的視点が確保されているので、今回はこちらの視点で説明してみたいと思います。
僕の周りではチーム転職という転職方法が始まっています。
また、一部の人材会社でもチーム転職の紹介が始まりつつありますが、まだまだマイナーな概念だと思うのでチーム転職の説明からしてみたいと思います。
チーム転職とは?
文字通りチームメンバーがチームとして同時に転職する事です。
個人のジョブ型転職の場合、配属先が決まっている事が当たり前になりつつありますが、チーム転職の場合はチームの裁量も維持した上でチームとして働く事が約束されます。
では、チーム転職の利点はどこにあるんでしょうか?
採用企業から見て成果が約束されやすい
多くの仕事で個々人1人の力で何かを達成する事は少ないと思います。
見えるか見えないかは別として、多くの場合は同僚などのメンバーが支え合って一つの仕事を成し遂げているのではないでしょうか?
つまり、有能な1人を雇っても支え合うバランスが構築出来なければ、成果があまり出ないかもしれません。
逆にチームごと迎え入れた場合は成果が予想しやすい事が一番明確なメリットになります。
メンバーは転職後の心理的安全性が担保しやすい
そもそも、転職活動は個々人が行うものですし、チーム転職でも雇用自体は一人一人個別の契約が発生します。
それでも敢えてチーム転職を選ぶ場合、そのチームの居心地、成果、成長に満足できている事が必須と言っても問題ないのではないでしょうか?
そもそもウマが合わないメンバーと転職する必要がない事を考えると、心理的安全性が高いことは間違いないと考えられます。
チーム転職の条件
チーム転職は簡単ではありません。
チームとして評価可能で説得力のある何かが無いと受け入れられないからです。
チームとしてそれなりに外部とコネクションがある事。コレは実際の仕事で触れ合う人の評判はもちろん、カンファレンスの発表など、ある程度能力や成果が可視化できていることが必須条件となります。
チーム転職で必要な評価
例えば、誰かが大きなカンファレンスの登壇をして素晴らしい成果を発表した時、メンバーはしらけているなんて事があります。
チームのマネージャーが仕事を持ってきた時も同じです。マネージャーは華々しく顧客に説明してるのに、チームの実態はマネージャーが取ってきた仕事を嫌々やっている。
つまりメンバーは納得して働いていない状態です。
逆にチーム転職をすると言う事は、そのメンバーが納得できる形で成果を上げれている証明になります。
転職するメンバー全員の生活基盤の変化までチームですり合わせて転職の交渉に挑む事を考えたら、納得以上の信頼関係が必要な事は容易に想像できます。
そしてそれが転職先でも一つのモデルケースとして評価されるわけです。
逆に言えばここまでチームが一体となっている事を証明できて、初めてチーム転職に必要な条件が整っていることになります。
離職される企業は痛手にならないのか?
多くのIT系企業ではジョブ型の雇用が主流になりつつあります。
仕事に人を紐づけるジョブ型の雇用では、人に仕事を紐づけるメンバーシップ型の雇用と比較して、流入と流出に寛容な文化があります。
いいチームはチームはメンバー個々が一人称であるとともに、チーム自体も一人称として動いていますが、メンバーもチームもジョブ型の働き方をしているので、文化的な相性に問題はありません。
採用的な面から見たら、一度で3人から5人のメンバーが抜ける事に痛手はありますが、確実にジョブに適した人材を適切にリリースして、確実に確保できる文化が構築できていたら、大きな問題にはならないと考えられます。
何より大切なのは、チームとメンバーを大切にして、そこにそのチームに適したジョブが存在する限り、ほとんどのケースで不本意な離職は防げると言う事です。
そして僕は、チーム転職宣言を次に挙げる理由で歓迎すべきと考えています。
チームと転職市場
今後、チーム転職を宣言できる会社と、チーム転職を受け入れる会社はより良い人材が集まると考えられます。
なぜなら、いいチームを作り上げる社内文化と、いいチームを守れる社内文化がそこにあると言う一つの証明になる上、チーム転職できるチームのメンバーはその職業コミュニティで知名度もあるため、より明確な評価が定まりやすくなるからです。
当然、世の中の多くのエンジニアはより良い環境、心理的安全性が確保できる環境で働きたいと考えています。
チームを大切に出来ると言う事は、個々人で転職先を探すエンジニアにとっても大きな指標になります。
チーム転職宣言は、その企業が今までチームとメンバーを大切にしてきた証拠であり、その広告にもなるのです。
チームと企業の今後
まもなくアジャイル宣言が出来て20年が経ちます。
2020年版のスクラムガイドではスクラムが開発以外のチームにも受け入れられつつあることも明記されました。
その様な流れの中、これからはチームを3年から10年程度維持し、多くの実験でたくさんの失敗を繰り返し、多くの経験則を持って外部評価を得ることが、エンジニアリングの一つの指標になる事は間違いないと考えられます。
視点を変えてみると、チーム転職宣言が可能なほど成熟したチームは法人として独立しないだけで小さな経営を行っていると言っても過言ではありません。
ベンチャー企業や社内スタートアップの様なVUCA要素の強い環境では、いかに成熟したチームをら作るかが課題になります。一部ではメンバーに経営者目線を持って欲しいと伝えている企業や部署もあるのではないでしょうか?
そのような組織こそ、成熟したチームを積極的に受け入れる事でよりVUCAに適応可能な文化を作ることにつながります。
つまり今後は、転職の有無に限らずチームを大切にする事がVUCAを生き抜く企業の必須条件となっていくのではないでしょうか?
まとめ
今回の記事は僕が以前フラクタル構造のチームマネジメントしており、その内部のチームがチーム転職宣言をした事はとても嬉しく感じたことを言語化してみるいいきっかけとなりました。
チームビルディングを継続的に行うことは、企業価値を大きく向上することにもつながります。
僕自身も今まで以上に、チーム転職宣言を出せるような最高のチームを作り維持する文化、最高のチームをチーム転職で受け入れる文化を作れるように、チームビルディングに向き合いたいと考えています。