目次
- やりたかったこと
- 試したこと
- 結論(できたのかできなかったのか)
- 事前準備
- goofysを使うための.configファイルを.ebextension/以下に配置する
- 配置したファイル(失敗例)
- エラー1: No space left on device
- 解決策: 容量の拡張
- 1. EBSのボリュームサイズを変更する。
- 2. growpartでパーティションをボリュームサイズに合わせて拡張する。
- 3. xfs_growfsでファイルシステムを上限まで展開する。
- エラー2: undefined io.ReadAll
- 解決策: Golangパッケージのv1.16.13を直インストール
- 配置したファイル(失敗例その2)
- エラー3: accountsRes.Value undefined & not enough arguments in call to client.ListKeys
- 解決策: インストールするgoofysのバージョンをv0.20.0に修正
- 配置したファイル(成功例)
- 結局どうやって更新するの?
- 最後に
- 【2022/07/01 追記】: Golangインストールコマンドもconfigに記述
- 一刻も早くマウントしないといけない人向け
お疲れ様です。福里(♂)です。
今回は表題の通り、僕の死闘を書き記しておこうと思います。実はちゃんとした技術記事を書くのは初めてなので、ドキドキしますね。これが恋か。
やりたかったこと
Elastic Beanstalkにデプロイしているコンテナ内の一部のファイルを、デプロイを伴わずに更新できるようにする。
試したこと
一部のファイルをS3に切り出して、goofysを使ってS3をマウントすればできるじゃん!採用!
結論(できたのかできなかったのか)
結論からいうと、無事できました。
そのため、どうやって実現したのか、どこでつまづいたのかを書いていきます。
事前準備
- マウントしたいS3バケットを作成
- BeanstalkのEC2インスタンスに設定しているIAMロールに
AmazonS3FullAccess
ポリシーをアタッチする。(バケットを絞りたい場合は、カスタムポリシーを作成してアタッチしてもOKです。)
goofysを使うための.configファイルを.ebextension/以下に配置する
配置したファイル(失敗例)
今回、goofysを使うためにBeanstalkにデプロイするソースの.ebextensios/に以下のファイルを追加しました。
※失敗例のファイルなので、コピペはまだ我慢してください。
packages:
yum:
golang: []
fuse: []
commands:
01_mount:
command: "/tmp/01_unmount.sh"
02_mount:
command: "/tmp/02_goofys.sh"
files:
"/tmp/01_unmount.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if mountpoint -q [マウントポイント] ; then
umount [マウントポイント]
fi
"/tmp/02_goofys.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
export GOPATH=$HOME/go
go get -d github.com/kahing/goofys@latest
go install github.com/kahing/goofys@latest
mkdir -p [マウントポイント]
$GOPATH/bin/goofys --uid `id -u root` -o allow_other [マウントしたいS3バケット名] [マウントポイント]
ちなみに[マウントポイント]
は、インスタンスのファイルシステムのどこにマウントしたいかの指定です。/mnt/hoge
とかにしとくとわかりやすいね。
これを含めていざデプロイしましたが、先ほど書いた通りこちらは失敗しました。
エラー1: No space left on device
Beanstalkのcfn-init-cmd.log
を見てみると、先ほどのconfigファイルの02_goofys.sh
を実行している段階で以下のエラーが出ていました。
[INFO] # cd .; git clone -- https://github.com/grpc/grpc-go /root/go/src/google.golang.org/grpc
[INFO] Cloning into '/root/go/src/google.golang.org/grpc'...
[INFO] /root/go/src/google.golang.org/grpc/.git: No space left on device
容量が足りないとのことで、EC2インスタンスにeb ssh
で入りdf -h
を叩いてみると、
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
tmpfs 996M 0 996M 0% /dev/shm
tmpfs 996M 17M 979M 2% /run
tmpfs 996M 0 996M 0% /sys/fs/cgroup
/dev/xvda1 8.0G 8.0G 20K 100% /
tmpfs 200M 0 200M 0% /run/user/1000
EBSがパンパンのパンになっていました。ごめんね気づいてあげられなくて。。。。。
解決策: 容量の拡張
ということで、拡張しました。大まかな手順としては、
- EBSのボリュームサイズを変更する。
- growpartでパーティションをボリュームサイズに合わせて拡張する。
- xfs_growfsでファイルシステムを上限まで展開する。
となっています。
1. EBSのボリュームサイズを変更する。
AWSコンソールから、EC2インスタンスにマウントしているボリュームのサイズを変更します。
画像の通り、現状は8GBになっていたため、8 -> 16GBに変更しました。
2. growpartでパーティションをボリュームサイズに合わせて拡張する。
EC2インスタンスに入り、lsblk
を叩きます。
$ lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
xvda 202:0 0 16G 0 disk
└─xvda1 202:1 0 8G 0 part /
ボリュームサイズは引き上げられていますが、まだパーティションが8GBのままなので拡張してあげます。
$ sudo mount -o size=10M,rw,nodev,nosuid -t tmpfs tmpfs /tmp <- growpartができないくらい容量がパンパンだったので、一時フォルダ用のマウントを追加
$ sudo growpart /dev/xvda 1
$ sudo umount /tmp
これで、ボリュームサイズに合わせてパーティションが拡張されました。
$ lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
xvda 202:0 0 16G 0 disk
└─xvda1 202:1 0 16G 0 part /
3. xfs_growfsでファイルシステムを上限まで展開する。
ここで、一度df -h
を叩いてみると。。。
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
tmpfs 996M 0 996M 0% /dev/shm
tmpfs 996M 17M 979M 2% /run
tmpfs 996M 0 996M 0% /sys/fs/cgroup
/dev/xvda1 8.0G 8.0G 20K 100% /
tmpfs 200M 0 200M 0% /run/user/1000
まだ上限が8GBのままになっています。これはファイルシステムが展開できていないことが原因なので、展開してあげました。
$ sudo xfs_growfs /dev/xvda1
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
tmpfs 996M 0 996M 0% /dev/shm
tmpfs 996M 17M 979M 2% /run
tmpfs 996M 0 996M 0% /sys/fs/cgroup
/dev/xvda1 16.0G 8.0G 8.0G 51% /
tmpfs 200M 0 200M 0% /run/user/1000
これで今度こそ容量問題が解決したはずなので、再度デプロイ!!!!!
エラー2: undefined io.ReadAll
容量問題は解決したものの、別のエラーが出てしまいました。。。
Beanstalkのcfn-init-cmd.log
を見てみると、また先ほどのconfigファイルの02_goofys.sh
を実行している段階で以下のエラーが表示されていました。
[INFO] Command 02_mount
[INFO] -----------------------Command Output-----------------------
[INFO] # golang.org/x/oauth2/google/internal/externalaccount
[INFO] root/go/src/golang.org/x/oauth2/google/internal/externalaccount/executablecredsource.go:256:15: undefined: io.ReadAll
[INFO] /tmp/02_goofys.sh: line 6: /root/go/bin/goofys: No such file or directory
[INFO] ------------------------------------------------------------
なんらかの原因でgoofysのインストールに失敗し、goofysコマンドが通ってないみたいです。
そこでio.ReadAllのエラーに関して調べてみたところ、どうやらgolangのバージョンが1.16系以降じゃないとio.ReadAllが使えないとのこと。
ですがconfigファイルのpackagesでは特にgolangのバージョンを指定していないはずなので、EC2インスタンスに入りgo version
を叩いてみたところ。。。。
$ go version
go version go1.15.14 linux/amd64
めちゃくちゃ1.15でした。なんで????????????
特にバージョン指定をしていないはずなので、AWSのドキュメントにパッケージのバージョンに関して記載がないか調べてみました。
Amazon Linux 2022 には、Amazon Linux 2 に存在していた同じパッケージの多くが含まれています。これらのパッケージバージョンのいくつかは Amazon Linux 2022 用に更新されました。
お前お前お前お前お前ぇぇぇ!!!
つまり、Amazon Linux 2 インスタンスのリポジトリだと、1.15.14が最新バージョンとなっているらしいです。
そのため、yumでgolangをインストールした場合、サードパーティ製のものをgo installしようとするとバージョンの関係により失敗することがあるみたい。
解決策: Golangパッケージのv1.16.13を直インストール
yumでgolangをインストールするとあかんということで、EC2インスタンスの中に入り直接golangパッケージをインストールしてあげることにしました。 インストールコマンドをconfigファイルにぶち込みました。詳しくは追記項目をご参照ください。最初からこうすればよかったじゃん。。。
$ sudo yum remove golang -y <- すでにyumでgolangが入ってる場合
$ wget https://go.dev/dl/go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
$ sudo tar -C /root -xzf ./go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
1.16.13にしたのは、一応Amazon Linux 2022インスタンスのバージョンに合わせたかったからです。
また、今回直接golangをインストールしているので、先ほどのconfigファイルも少し修正しました。
配置したファイル(失敗例その2)
packages:
yum:
fuse: []
commands:
01_mount:
command: "/tmp/01_unmount.sh"
02_mount:
command: "/tmp/02_goofys.sh"
files:
"/tmp/01_unmount.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if mountpoint -q [マウントポイント] ; then
umount [マウントポイント]
fi
"/tmp/02_goofys.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
export GOROOT=$HOME/go
export PATH=$PATH:$GOROOT/bin
export GOPATH=$HOME/go
go get -d github.com/kahing/goofys@latest
go install github.com/kahing/goofys@latest
mkdir -p [マウントポイント]
$GOPATH/bin/goofys --uid `id -u root` -o allow_other [マウントしたいS3バケット名] [マウントポイント]
golangの記述を削除したのと、02_goofys.sh
の中にgoのパスを通す記述を追加しました。
これで再度デプロイしたところ、undefined: io.ReadAll
のエラーは出なくなりましたが、次のエラーが待っていました。
エラー3: accountsRes.Value undefined & not enough arguments in call to client.ListKeys
次に出たエラーは以下です。
root/go/pkg/mod/github.com/kahing/goofys@v0.24.0/api/common/conf_azure.go:272:34: accountsRes.Value undefined (type storage.AccountListResultPage has no field or method Value)
[INFO] root/go/pkg/mod/github.com/kahing/goofys@v0.24.0/api/common/conf_azure.go:373:35: not enough arguments in call to client.ListKeys
[INFO] have (context.Context, string, string)
[INFO] want (context.Context, string, string, storage.ListKeyExpand)
[INFO] /tmp/02_goofys.sh: line 8: /root/go/bin/goofys: No such file or directory
これに関してはほんとにさっぱりで、調べども調べども失敗した原因がわからず、ごはんの味も感じられないほど頭を悩ませました。嘘です、ごはんはいつでも美味しかったです。
解決策: インストールするgoofysのバージョンをv0.20.0に修正
ダメ元でgoofysのリポジトリのissueに上がってないかな〜とリポジトリ内検索をかけたところ、とあるissueに解決策が書いてありました。なんでいままで調べても出てこなかったんだよ
参考: https://github.com/kahing/goofys/issues/664#issuecomment-944895024
これによると、最新バージョンv0.24.0(2022/06/29当時)
の場合はエラーがでるらしく、恒久対応はまだされていないため急ぎで使いたいならv0.20.0
にするといいよとのこと。
なので、そのコメントの言う通りconfigファイルを以下のように修正しました。
配置したファイル(成功例)
packages:
yum:
fuse: []
commands:
01_mount:
command: "/tmp/01_unmount.sh"
02_mount:
command: "/tmp/02_goofys.sh"
files:
"/tmp/01_unmount.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if mountpoint -q [マウントポイント] ; then
umount [マウントポイント]
fi
"/tmp/02_goofys.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
export GOROOT=$HOME/go
export PATH=$PATH:$GOROOT/bin
export GOPATH=$HOME/go
go get -d github.com/kahing/goofys@v0.20.0
go install github.com/kahing/goofys@v0.20.0
mkdir -p [マウントポイント]
$GOPATH/bin/goofys --uid `id -u root` -o allow_other [マウントしたいS3バケット名] [マウントポイント]
goofysの後ろにつけていた@latest
を@v0.20.0
に修正しました。
先ほどのコメントを信じてデプロイしてみると、なんとデプロイが成功しました!!
念の為EC2インスタンスに入りdf -h
を叩いてみると、指定したマウントポイントが作成されS3のマウントにも成功していました!!!!
めでたしめでたし。
となるところですが、もう一つだけ忘れていることがありました。Dockerrun.aws.jsonへの追記です。
今の状態だとインスタンスにはマウントできていますがコンテナにはマウントできていない状態なので、以下のように追記しました。
{
"AWSEBDockerrunVersion": "1",
"Image": {
"Name": "ECRのイメージ名"
},
"Ports": [
{
"ContainerPort": "8080"
}
],
"Logging": "/var/log/httpd",
"Volumes": [
{
"HostDirectory": "[マウントポイント]",
"ContainerDirectory": "[マウントポイント]"
}
]
}
これで完璧にBeanstalkとS3のマウントができました。ここまでお疲れ様でした。
結局どうやって更新するの?
さて、これで無事にマウントは完了したわけですが、僕の最終目標はそこではありません。その後、ほんとにデプロイせずにファイルを更新してBeanstalkに反映できるのかという部分が大事です。
といってもここまできたらあとはもう簡単で、S3に置いているファイルを更新した後、Beanstalkの画面でアプリサーバーの再起動をすると更新が反映されています。天才ですね。
例えば、今回の僕の例で言うとBeanstalkにはWebサイトをデプロイしていて、検索機能に使用するマスタデータを更新していました。実際の画面はお見せできませんが、S3内のマスタデータファイルを更新し、アプリサーバーの再起動後、無事更新が反映されていました🥳
これにてほんとうにめでたしめでたしです。
最後に
死闘といいつつ、こうやって書いてみると意外とあっけなかったかもしれないですね。ただ結論に2、3日ほどかかったので、実際はほんとに大変でした。。。
無事マウントすることができましたが、もしもっと賢いやり方がある場合は知りたいですね。(特に、初回だけとはいえgolangパッケージを直接インストールしてあげないといけないのはめんどくさいので、なんとかならないかなと思ってます。)
この記事が、少しでもお役に立てたなら幸いです。
【2022/07/01 追記】: Golangインストールコマンドもconfigに記述
Golangパッケージを直インストールしていましたが、そもそもインストールコマンド全部configにぶちこめばいいじゃんって今更気づきました。ウケる(?)
packages:
yum:
fuse: []
commands:
01_mount:
command: "/tmp/01_unmount.sh"
02_mount:
command: "/tmp/02_goofys.sh"
files:
"/tmp/01_unmount.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if mountpoint -q [マウントポイント] ; then
umount [マウントポイント]
fi
"/tmp/02_goofys.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if [ ! -e go1.16.13.linux-amd64.tar.gz ]; then
wget https://go.dev/dl/go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
fi
if [ ! -e /root/go ]; then
tar -C /root -xzf ./go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
fi
export GOROOT=$HOME/go
export PATH=$PATH:$GOROOT/bin
export GOPATH=$HOME/go
go get -d github.com/kahing/goofys@v0.20.0
go install github.com/kahing/goofys@v0.20.0
mkdir -p [マウントポイント]
$GOPATH/bin/goofys --uid `id -u root` -o allow_other [マウントしたいS3バケット名] [マウントポイント]
一刻も早くマウントしないといけない人向け
- マウントしたいS3バケットを作成
- BeanstalkのEC2インスタンスに設定しているIAMロールに
AmazonS3FullAccess
ポリシーをアタッチする。(バケットを絞りたい場合は、カスタムポリシーを作成してアタッチしてもOKです。) - .ebextensions/に以下のファイルを追加する。
packages:
yum:
fuse: []
commands:
01_mount:
command: "/tmp/01_unmount.sh"
02_mount:
command: "/tmp/02_goofys.sh"
files:
"/tmp/01_unmount.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
if mountpoint -q [マウントポイント] ; then
umount [マウントポイント]
fi
"/tmp/02_goofys.sh":
mode: "000755"
owner: root
group: root
content: |
#!/usr/bin/env bash
export GOROOT=$HOME/go
export PATH=$PATH:$GOROOT/bin
export GOPATH=$HOME/go
go get -d github.com/kahing/goofys@v0.20.0
go install github.com/kahing/goofys@v0.20.0
mkdir -p [マウントポイント]
$GOPATH/bin/goofys --uid `id -u root` -o allow_other [マウントしたいS3バケット名] [マウントポイント]
- Dockerrun.aws.jsonにマウントに関する記述を追記する。
{
"AWSEBDockerrunVersion": "1",
"Image": {
"Name": "ECRのイメージ名"
},
"Ports": [
{
"ContainerPort": "8080"
}
],
"Logging": "/var/log/httpd",
"Volumes": [
{
"HostDirectory": "[マウントポイント]",
"ContainerDirectory": "[マウントポイント]"
}
]
}
- BeanstalkのEC2インスタンスに入り、以下のコマンドを叩く
$ sudo yum remove golang -y <- すでにyumでgolangが入ってる場合
$ wget https://go.dev/dl/go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
$ sudo tar -C /root ./go1.16.13.linux-amd64.tar.gz
- デプロイを実行する。