〇はじめに
クラウドソリューションエンジニアの藤井です。
Tech Summit 2018で受講したセッション「VDI環境最新化のシナリオ – MicrosoftのVDI戦略」について、ご紹介します。
〇VDIとは何か
そもそもVDI(仮想デスクトップ方式)とは何かを理解する上で、SBC(ターミナルサービス方式)も関連して解説します。
・VDI(仮想デスクトップ方式)
ユーザーごとに独立して構築された仮想OS環境に、リモートでログオンして利用します。OSはクライアントOSが利用されます。仮想OS環境のローカルドライブにファイルを保存することや、アプリケーションをインストールすることもできるため、同じユーザーが継続的に利用する場合に適しています。CPUやメモリなどのリソースを占有で割り当てるため、スペック要件の高いアプリケーションを利用する場合に適しています。
・SBC(ターミナルサービス方式)
複数のユーザーが同じOS環境を共有して利用します。OSはサーバーOSが利用されます。CPUやメモリなどのリソースを共有することで効率よく利用したい場合や、ホストOSにアプリケーションをインストールすることで、共通のアプリケーションを利用したい場合に適しています。
〇クラウド上のVDIが今、注目される背景
2017年8月のライセンス規約改定により、Windows のクライアントOSの仮想環境をパブリッククラウド環境(複数のユーザー企業がホストOSをシェアするマルチテナント環境)で利用することが解禁されたことが、注目されている背景です。
従来はサーバーOSを利用する他に選択肢が無いため、SBC方式を選択するか、もしVDI方式にこだわるのであれば、サーバーOSをカスタマイズしてクライアントOSのデスクトップエクスペリエンスに近づける必要がありました。解禁前の2014年時点では、AWSのWorkspacesでは、デスクトップエクスペリエンスをWindows 7のようにカスタマイズしたWindows Server 2008R2(Datacenter Edition)が利用されていました。
クラウド環境を利用することで、ハードウェアやネットワークの管理から解放されるメリットを享受できる点は、サーバー環境をクラウドに移行する場合と同様です。
〇Azure上でVDI利用について
Azure上でVDI環境を構築する場合は、以下の選択肢から検討します。
(1)Windows Virtual Desktop(※)
(2)VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure
(3)Citrix Cloud on Microsoft Azure
※2018年11月27日現在、プレビュー段階
基本的な機能のみ利用する場合はWindows Virtual Desktopを選択し、より高度な管理機能などを利用したい場合はVMwareやCitrixの製品を選択することが想定されています。
Azure上でVDIを利用するメリットはOffice 365とAzreuがバックボーで接続されており、例えばOne Driveで大容量のファイルを操作する場合でも快適に利用できます。
さらにWindows Virtual Desktopを選択する場合、Office 365のライセンスで使用できます。特に端末側が通常のPCである場合、Windows OSのライセンスを二重で購入することを回避できます。