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ITスパイゲーム 最終話:情報は人を殺すのか(後編)

ITスパイゲーム 最終話:情報は人を殺すのか(後編) 2019-06-11Leave a comment
情報戦
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「吐け! 吐くんだ!」と卓上ランプで顔を執拗に照らされているような気分の奥山です。(自分で勝手に広げた風呂敷なのに、前回畳まず放置した罪悪感で胸が痛い!)

「喋らねぇ! たとえ落としの山さんが相手だって喋らねぇぞ、俺は! ところでいつカツ丼出してくれんだい?」

「まだ駄目だ。吐いちまえよ。そうすりゃ温かいカツ丼がかっこめるんだぞ、奥山ぁ。一体どうしてノンテクのお前がIT企業に就職なんて道を選んだんだ? お袋さんは知ってるのか? ん?」

すみません、『太陽にほえろ』は見たことないんで取り調べシーンは想像です。

ちなみにこうやって人対人で情報を取ろうとする行為はHUMINT(ヒュミント)といいます。Human Intelligenceの略で、文字通り、人による諜報です。専門家に意見を聞きに行ったり、心理戦でターゲットに喋らせたりするのもこのタイプですね。

「じゃあオンラインスパイ戦は何て呼ぶんだ?」

おっと、山さん、慌てないでくださいよ。あれはSIGINT(シギント)。Signal Intelligenceです。シグナル、つまりは通信や電磁波から情報を取っていくんですね。メールの盗聴なんかもこっち。

そして一番よく使われる方法がOSINT(オシント)。これだけは3単語で構築されていて、Open Source Intelligenceです。これもまた、文字通り。オープンソース、すなわち公開されているメディアからInformationを取ってきて分析し、Intelligenceをかき集める手法。(InformationとIntelligenceの違いはまだ覚えてますか?)

前回お話ししたITの可能性というのはここの部分、OSINT拡大の可能性なのです。

これだけでもう大体検討はついてしまったのではないですか? 簡単な話です。テクノロジーを利用すれば、情報は一瞬で世界の裏側まで、ひゅーんと飛んでいきます。情報のチャンネルは距離が短くなり、さらに情報を入手するルートが宇宙が膨張するようなスピードで広がっていく、まさにワールドワイドなウェブ。

ではテクノロジーを使って、前編で出てきた「買い手の貴方」「売り手のデザインBの靴を提供するブランド」「チャリティーの靴を受け取る発展途上国」という登場人物の情報のルートを整理してみましょう。

今までは買い手と売り手の間、売り手と発展途上国の間でしか情報が動いていませんでした。

そこにテクノロジーをうまく入れると、買い手の貴方と発展途上国で情報を交わし合うことができるようになります。そうすることで、「貴方」は現場の生の声を聞くことが可能になり、本当に必要なものは何なのか、それをしっかり提供するにはどうするべきなのかを考える材料をそろえることができるのです。

買い手、売り手と発展途上国の情報ルートの変化

そうこうしている内に情報の非対称性が起きているという事実にも気づきやすくもなるので、情報の非対称性を利用して顧客を騙そうとする悪徳企業も生きにくくなります。

Collective Intelligence、通称COLLINT(コリント)と称される協力諜報で、他社と協力して情報を集め、巨大な敵に対抗していこうというスイミー的な戦い方もできるようになりますね(国語の教科書に載ってた『スイミー』ってお話、覚えてる人は手を挙げてー!)。

じゃあそんな世界で、ビジネスが生き残るには何をするべきなのか。

答えはゲーム理論の中にあるのではないかと思います。

ゲーム理論というのは数学を用いて複数主体が関わる状況での戦略的意思決定を考える学問です。囚人のジレンマとか聞いたことありません?

これを紐解いていくと面白いことに気づきます。独り勝ちしようとするより、全員がほどほどに幸せになる妥協点を見つけることが結局自分の幸福にもつながるというアダム・スミスもびっくりな概念です(誰だよ、アダム・スミスですって? 経済学の父と呼ばれる自由主義経済学の始祖です。ビジネスサイドの世界で生きる私たちみんなのパパです。個の利益を追うと市場はうまく動くので、みんな自由にビジネスしようねと言った父上)。

例えば買い手を騙して高い買い物をさせ続ければ、買い手はお金がなくなって商品が買えなくなり売り手は顧客を失います。

もし競争相手に勝とうとして、もしくは買い手の為を思って常識外に安いものを提供し続ければ会社が回らなくなって潰れます。

だから自分も儲けるけど、相手にも利益があるようなWin-Winのシステムを作るとちょうどいい塩梅で長期的に回るよね、という、当たり前と言っちゃえば当たり前な話がこの理論を見ているとわかります(簡単にまとめると、ビジネス思想としてはこうなりますが、ゲーム理論自体はもっと複雑なので、調べたい人は調べてください)。

数学という冷たいイメージを持たれている学問で幸せの勝ち取り方を証明していくゲーム理論、ワクワクするので(そして数学的に美しいので)とても好き。

ついでに「幸福の最大化」が、私がFIXERに入った理由です。

面接で「顧客と自社とを一緒にレベルアップしていこう!」という経営方針の土台が見えたので、面白いことありそうだなと入ってきました。それだけ? って言われそうですが、そういう単純なことに重きを置いているところって少なくないですか?

弊社が最近始めた教育サービス、「cloud.config Boot Camp」というAzureを使う企業向けのトレーニングなんて、特にその思想を感じます。ベンダーに依存し続けるのはもうやめたい! 独立性を高めて自分の足で立つんだ! という企業をFIXERがサポートし、共にAzureの世界を広げていこうというサービスですから。

それにやっぱりテクノロジーが見せてくれる可能性っていうのにも触れてみたかったというのもありますね(山さん、そろそろカツ丼の時間じゃないか?)

最終的にスパイと関係ない「情報」という一点に落ちついてしまうのが奥山ブログクオリティー! びっくりですね!

情報は使いようによっては人やビジネス、国ですら滅ぼしますが、同じくらい幸福に近づくツールのはず! だからこそ、奪おうと虎視眈々と目を光らせている影があることを忘れず、守るときはしっかり守り、使って勝ちに行くときは全力で勝ちに行くのです。

情報社会は合戦場ですよ! さぁ皆の者! 忍者も侍もうまく走り回って、協力し合って、共に太平の世を作ろうじゃぁないですか!

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