【ちょっと小話】外国人エンジニアと働くのなら当たり前を疑え!
2019-10-30
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日本で働きだして1年が経ちました。日系1.5世のマーケター、奥山です。1.5世って何? と聞かれそうなのでご説明。

そうだ、海外へ行こう! と移住した大人は1世。移住先の国で生まれた子は2世。ここまではきっとご存じでしょうが、親に連れられて移住した日本生まれの未成年の子供(つまり私)は日系1.5世と呼ばれるそうです。

そんな日系1.5世の私は人生の大体半分くらい、しかも人格形成に重要な時期がアメリカ成分でできているので、FIXERに入社して最初に配属された部署は多国籍なGBA(グローバルビジネスアクセラレーション)と呼ばれるグローバルビジネス担当部署。

隣にはアメリカ人、目の前にはインド人、ちょっと飛んでイタリア人、etc、etc……。見事に多国籍チームでした。

多国籍チーム=グローバル化?

「人材のグローバル化=外国籍の人がいる!」というのはほとんどの場合間違いです。そもそも国籍はグローバル化の絶対条件ですらないはず。何故なら「国籍=その人の文化」とは限らないからです。

私自身、国籍は日本だけれど、学んできた社会的常識が「日本的」かと聞かれれば恐らく違います(かといって、「アメリカ的」かと聞かれれば、それも恐らく違います)。

じゃあグローバル化って何? と問われれば、国境を越えた「文化的多様性」への理解度と受け入れ態勢の増強でしょうか。

海外人材というのは通常海外の異文化を持ち込んできますから、文化的多様性の高まりはもちろん期待できます。しかし国境を越える手段が発達した今、留学生、旅行者、移民などが増え、知識はその人の国籍に紐づけられた文化だけに制限されてはいないという前提も忘れてはいけません。

また、海外人材でも欧州、アメリカ、アジア、アフリカなど文化や思考は多種多様ですし、人の性格もありますから、ほとんどの場合、ステレオタイプは当てにできません。

つまり人それぞれ文化を持っているので、コミュニケーションの問題の前にこうすればいいという簡潔かつ唯一の答えは存在せず、その人その人を見て対応していかなければならないということです。

その上であえて海外人材との働き方を考えてみた時、どのようなポイントに気をつけなければならないかをこのシリーズではいくつかピックアップしていこうと思います。

海外人材が急激に増加しているといわれている日本のIT業界に少しでも役立てば幸いです。

会社 or 職務

日本では就職する時、自分は「会社」に就職したという意識が強い傾向にあります。そして「会社」のどこに配属されて、どのような仕事をするのかが正確に決まるのは入社後の場合も多いです。特に新卒入社はわかりやすい例ですね。部署変更やポジションの変更も比較的簡単に行われます。

欧米、特にアメリカの場合はそもそも「ポジション」に応募するところから始まります。この会社ではこの仕事をしていて、こういうスキルがある人が必要なようだから自分はこの「ポジション」で雇われよう、といった感覚です。

例えば私はFIXERでは元々「グローバルストラテジスト」として「グローバルビジネス担当部署」に入りましたが、その後「プラニングスペシャリスト」として「マーケティングチーム」に配属が変わりました。

日本的な感覚では配属が変わるのは珍しくないことですが、アメリカではポジションの空きが出ると社内で募集をかけて、そこへ希望者が応募し、面談を経ての異動、などのプロセスを経て初めて異動することが多いです。

(ちなみにこの時の異動はマーケティングチーム誕生を耳にして自ら掛け合って部署異動させていただいたので、割とアメリカ的な感覚でも納得できる異動だったと思ってます)

海外では「ポジション」にしか求人が出ないので、キャリア的に自分が磨きたいスキルが何か、そのためのポジションが何かを常に考えなくてはならず、業務命令での異動がキャリアにつながらないと判断した場合は拒否もしくは転職の可能性が上がります。どの会社に何年いたかではなく、どのポジションの経験が何年あるかが求人の応募条件になっている上、数年ごとに転職するのが当たり前なので、決定はシビアで素早いです。

このような場合、マネジメント側が社員のスキルセット、考えているキャリアパス、伸ばしたいスキルなどを把握しておくことが非常に重要になります。

ここでマネジメント側だけの要望を通そうとしてしまうと、「ポジション」にプロ意識を持つ社員の満足度を落とす危険性があるので、要所要所のコミュニケーションだけでなく、常日頃のコミュニケーションを密にしておくとボタンの掛け間違いが減ります。

これは「内部顧客」の満足度を上げるインターナルマーケティングという考えにつながっていくのですが、日本では実感として「内部顧客」というコンセプトが企業文化に馴染んでいないように見えますので、次回はその話へ繋げていこうと思います!