山田先生のコーチングコラム: 第6回 「キャリア」ってなんだろう。
2020-07-07
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FIXERにマネージャー向けコーチングを行って頂いているFlora Partnersの山田先生による、企業変革への示唆がある、個人の成長に役立つコラムをお届けします。前回の記事はこちら。お楽しみ下さい!


こんにちは。山田亨(やまだとおる)です。

今日のテーマは「キャリア論」です。

かつての古き良き時代とは異なり、大手企業でさえ潰れていく時代、若い人の「キャリア」に関する意識は、世のオジさん達とは大きく異なってきているため、この手の話題、特に世代間のギャップはコーチングセッションや営業の場においてもよく話題に上ります。

私自身もアンテナは高くしていて、いろいろなトレンドに触れるようにしています。

とある新人研修のベンダーさんが言っていたのは、

今の若い人は、「自分のキャリア形成において一瞬たりとも無駄な時間を過ごしたくない」と考えている、というお話でした。

みなさん、どんな感じなんでしょう?特に若い方、感覚合ってますか?

このお話、若い人達は意識が高いという捉え方も出来ますし、計画的に業務キャリアを積んでおくことが、将来的には自分の身を守るというかたちで、少し、不安の裏返しのような空気感も感じるところです。

今日的には、こういう意識状態の新人さんに、「はい、最初は工場勤務ね」みたいな話はなかなか響かないわけでありますが、

世のオジさん達にとっては、その反応は「辛抱がない」とか、「何か大事なことが欠落しているんじゃないか」といった想いも強いようです。

私としてはどちらの想いもよく分かるわけで、お互いにうまくわかりあえればいいな、という気持ちが強いです。


仏教の世界に「下座行(げざぎょう)」という言葉があります。

ちゃんとしたお寺ではお坊さんの一日は掃除と共にあります。自身の身を人よりも一段低い位置に身を置き、淡々と仕事をすることにより、自身の傲慢さを見つめ直していくことがその目的です。

これが「下座行」。

こうした下座の修行で見えてくるものってなんでしょう。

マンガの天才バカボンに出てくる「レレレのおじさんは」お釈迦様の弟子で掃除を続けることで悟りを開いた「周利槃特(シュリハンドク)」がモデルになっていますが、

こうした下座行を続けることで「悟り」とは言わないまでも、仕事の本質というのはある程度見えてくるんだろうと私は思います。

報われないとき、人から顧みられないときが人は一番成長できます。

こういう「オジさん視点」の前提に立ちながら、「キャリア」って一体何だろう?というテーマについてとあるトップリーダーと対話をしたことがあります。

きっかけは、ある専門性のある業種で閉塞感を感じてキャリアに悩める若い人にどう接したら良いものかということでした。

私はこんな風に答えたところ、

「キャリアの語源は馬車の轍(わだち)ですが、その本質は「何をやってきたのか」という軌跡ではなくて仕事を通じて、仕事や社会、そして人間を見る目がどれだけバージョンアップしたか、見える景色がどれだけ変わってきたのかということの軌跡なんじゃないですかね。これが語れる人は価値が高いと思います。」

そうだね、ということで、会話は大いに盛り上がりました。

私の考えは、あんまり物事レベルのキャリアに囚われても能力は深まらなくて、

それよりも、今日はどのように理解が深まったか?今日は昨日より仕事の本質に近づけたか?みたいな思考の深さのキャリアの方が意味があるんじゃないかなと思っている次第です。

ということで、上司の皆様には、昨日よりも今日、今日よりも明日、仕事の見え方がバージョンアップするような関わりをお願いしたいと思いますし、

若い皆さんは、浮き足だって焦ることなく、自分の仕事についてしっかりと問題意識と深い好奇心を持って、仕事の本質を考え続けていただければ、振り返ってみると良いキャリアが形づくられているんじゃないかなと思います。

(追伸)

余談ですが、自分みたいな「先生」と呼ばれる職業の人間にとっても「下座行」はホント大事。先生業は「上座」ですので、知らず知らずのうちに傲慢になって、人の気持ちが分からなくなってズレていきます。たまに「ヒヤリ」とすることもあります。

ですので、自分の家の掃除はもちろんのこと、諸々「なんでこんなことまでやらなアカンねん」と思えるような奉仕活動もなるべくやるようにしています。そういうことをしていると、心が広がって、いろんな人の考え方や気持ちが分かるようになるんですよね。

それでは、また。