この記事はFIXER Advent Calendar 2020 (https://adventar.org/calendars/5928) 19日目の記事です。
こんにちは。笹尾です。
TeamsやSlackなどののコミュニケーションツールを利用すると、どうしても隠れたやりとりが後で問題になってしまうことがあります。
普段のリアルな個人的な会話でも人間関係のいざこざや隠れタスクの問題は発生するため、無理に対処する必要がないという考え方もありますが、文字として残るチャットとしての問題も考慮しないといけません。
このため、DMの禁止などをルール化する組織もありますが、実際にDMが無くなるかというとかなり難しいのが実感としてあります。
実際、僕自身もよく意識せずDMを利用してしまうため、特に意識して改めていかないとと考えています。
一方でチームビルディングする側おいては個々人の意識やルールだけでは人の言動は変わらないと考えることがとても大切です。
そこで今回は、よりオープンな環境を作るにはどうしたら良いのかを考えてみました。
私の主観や憶測も含めて記載しますが、それぞれのチームや組織での意見や議論のきっかけになれば嬉しいなと思います。
テキストによるオープンコミュニケーション成立の前提条件
僕はTeamsやSlackなどでオープンコミュニケーションを成立させるためには以下の4点が前提として整えることが重要だと思います。
以下、僕が重要だと思う順に記載します。
- 常にちょっとした会話ができログが残らない環境
- 心理的安全性の確保された環境
- 頻繁に対話が行われ個々人の成長と組織の成長が促された環境
- 正直な議論を歓迎する関係性
1. 常にちょっとした会話ができログが残らない(気にしない)環境
ある調査でグループのもっとも重要な成功の予測因子は、同僚とのやり取りの量であるとの結果がありました。(あくまでも量が大切であり、質ではありません)
話す内容は無関係で、技術的なことであろうと、単なる暇つぶしのおしゃべりであろうと、他人と話しをすればするほど生産性が向上するのです。
このやり取りはチーム内に閉じる必要もありません。
その反面、これらざっくばらんな会話を誰でも見えるような場所に書き込むことも、ログに残すことも得策ではない場合が多いと考えます。(過去のログが完全に無視されるのであれば問題はないと思います。)
ログが残ることの問題は、ある発言を切り取って利用されると恐怖感がある場合はもちろん、全ての雑談が録音されていると考えると違和感を感じる人も多いのではないでしょうか?ただし、次の心理的安全性が高度に確保された環境であって過去のログが完全に無視されるのであればそこまで気にする必要はないのかも知れません。
このように異なる拠点でも、リモートでも、非同期でもIT企業の強みを生かして雑談が行えるコミュニケーション手段が提供・運用されているかどうかは重要です。この手段が提供されていないと、雑談をDMで行ってしまい、結果として隠れタスクなどまでDMに入ってしまう確率が上がると考えられます。
2. 心理的安全性の確保された環境
組織全体でオープンなコミュニケーションを成立させるためには、組織内の全員が心理的安全性を学び意識して活動する必要があります。
こちらは僕自身もBadパターンにハマってしまうこともあり、常に反省点があるので、僕の友達のブログを引用しておきます。本来はBadパターンを避けるだけでなく、より高度に心理的安全性を構築した方が良いかと思いますが、オープンコミュニケーションの成立にはまず、Badパターンを避けることは必須だと考えます。
- 心理的安全性がもたらす効果と、安全性を阻害するBadパターン(外部のリンクとなります)
3. 頻繁に対話が行われ個々人の成長と組織の成長が促された環境
オープンなコミュニケーションは個々のバックグラウンド に理解を深め敬意を払う文化とも言えます。
この側面の一つの例として、頻繁に対話が行われ個々の成長にきちんと向きあう環境が整っているか?という一側面でも評価できるのではないでしょうか?
こちらは自分の記事で申し訳ありませんが、大切なのは1on1ではなく1on1のエッセンスを取り入れて行動できるかが大切になります。
また記事には書いていませんが、メンターの傾聴とメンティーの傾聴もどちらも大切だし、上司部下で行う際はメンターとメンティーが入れ替わることも考慮に入れるべきであることも付け加えておきます。
4. 正直な議論を歓迎する組織構造
以下の質問は必ずしもいい方法とは言えないのでいきなり他者に向けて行うべきではありません。ただ、組織構造を見つめ直す一つのきっかけの質問として捉えていただければと思います。
『日々一緒に働き困難に向き合う中で、自分のために発言してくれる人や、より良い未来のために戦う人はどれくらいいますか? あなたはその中の一人ですか?』
『では、一緒に働いている中でより良い未来のために戦わない人は誰ですか?(実際に数名思い浮かべてください。)
あなたは本人にそれを伝えましたか?もし伝えていないとしたら、その理由はなぜですか?』
『自分のために時に批判とも受け取れる発言してくれる人はいますか?
その時、あなたは保身や既成概念に囚われることなく、前向きな議論を行いましたか?』
『あなたに部下がいる場合、率先して批判を受入れる態度を示し、実際にほとんどのメンバーから頻繁に批判を受け、相手を尊重しその批判を受け入れていますか?』
これらができるかどうかは、個々人の問題であるように見えますが、実際は組織構造の問題だと僕は考えています。もし組織として望んでいるのに出来ていない場合は、(部署再編をするという意味ではなく根本的に)組織構造を見直す必要があります。
まとめ
今回の記事は、コミュニケーションツールを通したオープンなコミュニケーションを構築するために仕組みやルール、個人の意識に頼らず、組織構造や文化的側面から支援をする方向で書いてみました。
上記の環境がある程度整っていたとしても、一人一人が意識して無駄なDMを減らすことも大切だと思います。
もし、上記を読んでいきなりDMをなくすことが無理と感じたなら、DMでの依頼や約束は全部無効というルールの方が明確で有効かもしれません。
僕の記事は綺麗事ばかり書いていますが、組織やチームに矛盾はつきものです。
その中で矛盾を批判するだけでなく、ただ受け入れるのでもなく、それぞれの組織やチームで対話し議論し、それぞれの理想として追い求める事が、良い組織・良いチームへの第一歩だと僕は考えています。