『エンジニアのための時間管理術』を読んで
2021-12-19
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この記事は FIXER 2nd Advent Calendar 2021( https://adventar.org/calendars/6838 )19日目の記事です。

はじめに

以前、父に借りていた本を探っていたら『エンジニアのための時間管理術』という非常に目を引くものがあり、読んでみるとこれが面白かったので紹介したいと思います。

ざっくり紹介

『エンジニアのための時間管理術』はO'Reillyから出版されているThomas A. Limoncelli著の本です。

13章から構成されていて、各章で独立したテーマについて書かれています。そのため、時間が限られているときは気になる章だけ読むこともできます。タイムマネジメントの本ですが、ストレスやドキュメント作成に関する章もあり、エンジニアなら気になるトピックも多いのではないでしょうか。個人的に全員に読んで欲しいのは1章の原則はマストとして、3, 4, 5, 7, 9章です。

目次)
はじめに
1. タイムマネジメントの原則
2. 集中と割り込み
3. ルーチン
4. サイクルシステム
5. サイクルシステム:作業リストとスケジュール
6. サイクルシステム:カレンダーの管理
7. サイクルシステム:人生の目標
8. 優先順位
9. ストレスの管理
10. 電子メールの管理
11. 時間の浪費
12. 文章化
13. 自動化

この本の読みやすい点は、「こうすればタイムマネジメントがうまくなる!」という語り口調ではなく、著者がこれまで遭遇した苦しい場面で「どのようにして乗り切ってきたか」という長年の試行錯誤・経験談をもとにした一種の提案であることが挙げられます。 本書の中で例えになっているシチュエーションが、多くの人(特にエンジニア)があるあると言いたくなるようなものばかりで、自分ならどうしてただろうかと省みながら、より効率的に計画を立てて物事を進めていくヒントを探すことができます。

さらに、本書は一貫してSA(System Administrator:システム管理者)が主語になっています。そのため部下を持っていたり、いくつか業務を掛け持ちしているからこそ直面するような場面も取り上げられています。 また、各章の最後に1ページ程度に要点をまとめられているので、どうしても時間がない人はそこを見るだけでも何か得られるかも知れませんし、たまに内容を読み返すのにも丁度いいです。

印象に残ったフレーズと感想

ざっくりと紹介したところで、この本の中で特に印象に残ったフレーズを3つ紹介したいと思います。

"習慣を予測可能なスケジュールで実行する"

習慣(=ルーチン)の利点は、何度も遭遇する事象に対してあらかじめ一度だけ考えて自分なりの答えを出しておくことで、何度も思考する時間を削減できることです。これをプログラマー向けの言葉で"コンパイルする"と表現しています。(分かりやすい!!)

そして、スケジュールは自分一人のものではありません。習慣はわざわざ周りに言うものではありませんが、同じ時間、決まった規則で行動していると自然と伝わるものです。すると周囲の人がミーティングのスケジュールを組むときに自分のスケジュールを考慮に入れることができたり、ちょっとした相談のタイミングを取りやすかったりします。

加えて習慣は自分の異常を周りに知らせるシグナルにもになると思いました。いつもの時間、場所に居ないと何かあったのではないかという推測をしてもらえます。

自分の習慣をうまく活用すると、「常にスケジュールを周りに共有する」を「いつもと違う時だけ周りに伝える」といったように負担を軽減できるかもしれませんね。

"残業は最悪の選択肢"

これは色々考えさせられる言葉ですね。

まず断っておくと、忙しくしていることは幸せなことです。しかしたまに、忙しくし続ける自分は能力不足なのではないかとか、時間の使い方などが下手なのではと感じることもありました。勿論タスクは必ずしも自分の意思だけで積もっていくわけではありませんが。

そこで、残業にどんなパターンがあるか考えてみました。

  • その日に終わらせなくていいことをしていて残業する
  • その日に終わらせなくていいことをしたことで時間が押し、終わらせないといけないことを完了するために残業する
  • その日に終わらせないといけないタスクを完了するために残業する

一つ目と二つ目は主に優先順位のつけ方が主な原因なので、今何をするべきか、どのくらい時間がかかりそうかを考えることで、防げる見込みがありますね。

三つ目は一見仕方のないようにも見えますが、長期のスパンで見たときに一つ目、二つ目のような状況があったために生じているかもしれませんし、最初の計画に無理があったのかもしれません。つまり未然に対策を打てていたかもしれないということですね。

これを読んで私は、残業が悪だとか残業が悪い結果につながると言いたいわけではないと思いました。むしろ、残業していないからといってサボっているとは限らず、逆に重要でヘビーな仕事をたくさん任せられたとしても、優先順位の付け方次第で残業をせずに済む方法もきっとあるという希望の言葉だととらえ、勇気づけられました。

私自身、やらないといけないことが溜まると、つい片っ端から消化することに目が行きがちなのです。しかし、そこで一息ついて何から手をつけるべきか、本当に自分がするべきなのかなど一つ一つの優先順位をつけることの大切さを考えさせられますね。

"マネジメントとは関係である"

自分のタスクだから全て自分でなんとかしないといけないわけではないと言うことです。 本書では随所で"委任する"というワードが出てきます。そうです、人に任せるのも立派なタイムマネジメント、仕事の捌き方の一つなのです。

これは私自身、人にお願いすることが苦手なので心に響きました。

私が人にお願いすることをためらう理由を思い返してみたとき二つ浮かびました。自分がやった方が早くクオリティが高いだろうと思うときと、やったことがないタスクだが自分の成長のためにやりたいというときです。

しかし、これらの考えで常に行動していると、どこかでキャパオーバーになるのは目に見えています。そしてギリギリまで自分一人でこなそうと粘って最後の最後で無理になったとき、そのリカバリーは誰かの急なタスクになってしまうんだろうなと思った訳です。

また、これも自分自身の戒めですが、人に助けを求めることにハードルを感じるときは今の自分の状況を伝えるのも手だと思いました。人に意見を求めることで、今自分が置かれている状況が思っているよりも余裕があるのか切羽詰まってきているのかわかることもあります。

自分自身やチームに余裕があるときは新しいことや苦手なことに挑戦することで成長し、余裕がない時は「餅は餅屋」でチームとして最大限のパフォーマンスを出すのがいいのかなと思いました。

マネジメントとは関係で、チームプレーで、全員野球ということでしょうか。

関連して…

この本を読んで、タイムマネジメント関係でいくつか思い出した話があったのでついでに少し紹介しておこうと思います。

一つ目は「先延ばし魔の頭の中はどうなっているか」というTEDトークです。何でも先延ばしにしてしまう方、是非一度自分の頭の中を見てみましょう笑

もう何十回観たことか...笑

もう一つは水が入ったコップの話です。

「ここに水が入ったコップがあります。このコップの重さはいくらですか」という簡単な質問です。みなさんはどう思いますか?

水が入ったコップ

気になった方は「水が入ったコップの重さ リフレーミング」などで検索してみてください。

まとめ

この手の話はまだまだ書き連ねたいことがあるのですが、今回はここまでにしたいと思います。また、こういったビジネス書の類は読んだだけでは何も変わらないので、まずは実践してみることですね(します)。

気になった方は是非読んでみてください。

参考