
久しぶりのブログです。
去る11月13日(木)、14日(金)に開催された、「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」に参加しましたので
聴講したセッションの概要や出展企業の様子などをお伝えしていきます。
ちなみに昨年は激アツプロジェクトで超多忙だったため行けず、2年ぶりの参加です。
前回参加した時のレポートはこちら
まずは私が参加した3つのセッションについて、リアルタイムでメモした内容をもとに
弊社の生成AIプラットフォーム「GaiXer」で要約させた内容をお届けいたします。
① ヒトとAIの融合による次世代型コンタクトセンター運用モデル『Hybrid Operation Loop』
未来感あふれるタイトルに期待高まるベルシステムさんのセッションです。
登壇されたのは、個人的に面識のある方で、期待値がさらに高まりました!
「Voice Dynamics」という音声・文字情報解析システムを核に、生成AIでデータを分析・ダッシュボード化し、
コンタクトセンター運用を変革する取り組みでした。
生成AI導入の課題は回答精度。「一般的な回答精度は60~80%」と正直な言及がありました。
生成AI導入の課題と、それを乗り越えるためのキーポイントは以下の通り。
- ナレッジの品質: これが重要。質が低いとAI回答も不十分。
- RAG(Retrieval-Augmented Generation)の限界: 情報源が多すぎたり構造化されていないと、AIが迷子になる。
そこでベルシステムさんが取り組んだのが、KCS(Knowledge-Centered Service)準拠のナレッジ作成、
「Knowledge Generator」によるナレッジ自動生成、そして「Hybrid RAG」の実装です。
従来のベクター検索にナレッジグラフを組み合わせ、回答精度を飛躍的に向上。
「Human in the loop」の手法を取り入れています。
LLM依存しすぎない方針は成功に不可欠。高度なAIツールの安易な導入は精度不足に陥りがち。
「ナレッジのデータ構造確立」と「ナレッジベースの構築」が成功の鍵。
過去データ活用と構造化されたナレッジ整備が近道です。
この仕組みは、2026年にはオペレーター支援、チャットボット、ボイスボットへと展開予定とのこと。
まとめとして、強調されていたのはこの3点。
- ナレッジ整備: AI活用の土台。
- 技術的に自動化可能なAI Ready状態にする: AIが最大限に力を発揮できる環境作り。
- 人がやることの再定義: AIが代替する部分と、人が介在すべき部分の明確化。
まさに、コンタクトセンターにおけるAI活用の本質を突いた内容でした!
② チャットボットがDX推進の契機に ~東武鉄道お客さまセンターの取り組み~
東武鉄道さんのセッションでは、ユーザーローカル社のチャットボット導入事例を紹介。
センター長代理の「ITは苦手」という言葉が印象的でした。
1日370件のコール、電話10名・メール5名体制の東武鉄道お客さまセンター。
「スペーシアX」というフラッグシップサービス導入で案内が複雑化・長時間化が課題に。
センターの課題は、
- 応答率5割前後
- メール回答の長期化
「メールの2割がよくある質問」というデータがチャットボット導入の強い動機になりました。
「予算・専任者なし、PC疎い」という状況で、既存FAQ活用でチャットボットを検討。
ユーザーローカル「SupportChatbot」はFAQ管理の容易さ、直感的な管理画面、手厚いサポート、同業他社実績が決め手でした。
導入は3ヶ月、打ち合わせから半年というスピード感で実現し、その効果は驚くべきものでした!
- 導入1ヶ月で利用者数約1万人、返答回数4万回、返答率94%!
- 定型回答の減少で、オペレーターは質の高い案内に集中。
- 申請や手続きの効率的な案内や受付が可能に。
- イベント告知に活用時、質問が1/4に減少、メール問い合わせは0件に!
- システム不具合時も、クイック検索機能での告知で10%が自己解決。
- アンケートフォーム機能で空調に関する意見を集約。
- メール回答作成時間が10分から5分に半減。
これらにより、問い合わせ数は前年度比で6.2%減を達成。
お客様センターが「ご意見対応部署」から「情報発信部署」へと社内認識が変化。
まさにDX推進の好事例です。
現在は音声通話テキストのAI要約、テキストマイニング、AI活用メーラー選定など、さらなるDX化が進んでいます。
初期費用5万、月額10万(最低6ヶ月)というユーザーローカルの費用感は魅力的。
既存FAQをAIが改善提案するオプションも有用です。
「ないない尽くし」でも諦めずに取り組めばDXが進むと、勇気を与えてくれるセッションでした!
③ カインズのコンタクトセンター改革 AIエージェント活用によるACW削減とVoCを活かした売上貢献への取り組み
ラストは、カインズさんの事例。ギブリーとタッグを組んだAIエージェント活用です。
ギブリーは生成AI導入実績900社以上。
カインズはオペレーター30名体制ですが、問い合わせは店舗経由のため比較的少なめ。
カインズさんが取り組んだのは、「導入を目的としない生成AI導入PJ」。
AzureのコグニティブサーチやChatGPTを導入し、ハルシネーション抑制や、
生成AIの特性(要約得意、計算苦手)を把握することから始めました。
具体的な対象業務は、
- 音声を要約して履歴作成し、ACW(After Call Work)のゼロ化
- チャットボットで回答確認時間を半減
これ、多くのCCが目指す目標です。
注目は「ACW自動化エージェント」と「VoC活用基盤」の取り組み。
通話履歴をCRMに自動登録し「仮想顧客」を生成。コムデザイン社「CT-e1」のCTIと連携。
生成AIに音声認識評価をさせるユニークな取り組みも。評価軸プロンプトで可能に。リアルタイム文字起こしに加え、問い合わせ内容の「構造化要約」と「発話内容抽出」の2種出力で、ニュアンス伝達の問題も解消しました。
そして、その効果!
- ACWが1件あたり4分から2分に半減!
- 応対品質の評価にかかる時間が1件あたり60分から30分に短縮!
- 結果的に、同じ人数で1.5倍の呼量に対応可能になり、オペレーターの疲弊度も変わらない印象だとか。
オペレーターの抵抗を考慮し、「カラオケ採点ノリ」で終話1分後に評価を出す工夫も。
生成AI活用はサービス部門にとどまらず、「メルマガエージェント」としてメルマガ作成を最適化。
VoCを分析し、商品・サービス開発に活かす取り組みも。
潜在ニーズを発掘し、商品・サービス開発や顧客ロイヤリティ向上、LTV最大化を目指す戦略は理にかなっています。複数のソリューション組み合わせは共感できますが、工数・費用がかかるためコストメリットが重要です。
まとめ:AI活用は「ナレッジ」と「人」の再定義から始まる!
3つのセッションを通じて、生成AIがコンタクトセンターに与えるインパクトの大きさを痛感しました。
ただし、単なるAIツール導入だけでは成功しません。
- 質の高い「ナレッジ」の整備がAI活用の絶対条件。
- AIの特性を理解し、「Human in the loop」や「Hybrid RAG」のように、AIと人がいかに協調し、お互いの強みを引き出し合うか。
- AIがルーティンワークを代替することで、人がより創造的で価値の高い業務に集中できるよう、役割を再定義すること。
これらがCC改革の最重要ポイントです。AI進化は目覚ましいが、顧客満足と事業貢献には「人」の視点と工夫が不可欠です。
はい、GaiXerさんありがとう!
自分が書いたメモをベースとしているので、言いたいこと全部完璧に伝えてくれた。
RAGによる社内データ活用とチャットボットの仕組みは非常に相性が良く、さまざまな企業で取り入れられてきています。
いわゆる「AIチャットボット」は、これまでのシナリオ型チャットボットと比べて
利用者がフリーワードで質問した内容も理解をして回答してくれる仕組みなので
求めている回答に行き着く確率が上がり、顧客満足の向上につながります。
GaiXerもRAGの機能とプロンプトテンプレートを組み合わせてAIチャットボットのような使い方が可能です。
社内で頻発する、同じような内容の問い合わせを日々対応している情シスや人事・労務の方々をはじめ
様々なシチュエーションでの活用が期待できます。
お問い合わせはGaiXerのサイトからお気軽にご連絡をお待ちしております!
出展企業の様子
ここ数年、特にOpenAI社の GPT-3.5がリリースされてからのあらゆるイベント・見本市は
ご参加された方ならお分かりの通り、「生成AI」を軸とした製品・サービスの展示に塗り替えられました。
コールセンター業界もその限りではなく、2年前の同イベントの時以上にAI色が濃くなっていました。
上記に挙げたAIチャットボットはもちろん、PBXを含むコールセンターシステムやCRM、
FAQやナレッジツール、変わり種としてはAI接客のシステムなど、生成AIが搭載されていない製品やサービスを見つける方が難しいと感じるほどです。
また、これも前回感じたことですがいわゆるコールセンター業界の企業だけでなく、
生成AIの開発・運用を主軸とした企業の出展も増加傾向にありました。
セッションに参加したギブリーもまさにそのうちの1つで、これまで参入できていなかった業界に
生成AIの開発・運用企業が入り込めるようになったことも、イベントが活発化している要因と感じました。
我々のGaiXerも、音声入力による通話内容の文字起こしと要約、CRMとの連携で履歴を自動登録、
文字起こしの内容から判断した感情分析、リアルタイムでのSV等上席からの指示出し代行など
ちょっと考えただけで活用できそうな場面が多く、弊社も参入できる余地はあるかも、と想像しています。
最後に
今回はコールセンター業界のイベントでしたが、過去に参加したイベントで得た情報や知識に基づいて
色々な業界の方と、生成AIの話題で会話する機会がとても増えました。
今までは交わることのなかった企業間の連携も期待でき、今後のビジネスにおいて想像力を膨らませています。
もしイベントでFIXERのブースを見かけたら、「ぶっちゃけ、GaiXerってどうなの?」とお声を掛けていただければ
生成AIを活用した業務効率化のご提案や利用促進のサポートなどをご支援いたします。
このブログをお読みいただいた方とは、是非いつかどこかでお会いできる日を楽しみにお待ちしております!





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