Microsoft HoloLens 2はポストスマートデバイス時代の旗手となるか?

(オーケイ、おちゃらけ記事は若手に任せるとして、わりと報道文体でいきますよ?)

優れたものは美しいといいますが、そのフレーズを思い起こさせるひと時を過ごしました。

de:code 2019?

それは去る5月29日と30日に催された、「de:code 2019」というイベントに参加したときのことです。

これはマイクロソフト社が都心のあるコンベンションホールを貸し切り、そこで同時多発的に同社の戦略や製品・サービスの最新動向を解説するセッションを並走させ、また多くの同社パートナー企業も各社の持ち味を活かした独自のセッションを催していく、大規模なイベントです。
時刻によっては数千人を収納できるという会場が人であふれ返るほどの活況となり、一種の祭典ともいえるでしょう。

筆者も前から存在は存じていましたが、開催6年目にしてようやっと参加の機会を得て嬉々として参列しました。

de:code 2019基調講演が推したもの

de:code 2019は29日の09時30分、基調講演から始まりました。
マイクロソフト社は今後のビジョンを非常に明確にしていきました。
それぞれもとても大きく含蓄のある話題で、かいつまんで書いてみると以下のようになります。

  • インテリジェントクラウドと、インテリジェントエッジの両輪を連携させるコンピューティングプラットフォームの展開
  • ユーザー企業の業務効率化改革を推進する、クラウドベースのPaaS製品を展開
  • ソフトウェア会社なのに以前から定評のあるハードウェア設計力を基にした、仕事も私生活も問わず生活を改革する新製品の展開

その中でもひと際、新しい次の時代をもたらすだろうと、筆者以外の誰もが予感させられたといっても過言ではない製品があります。

それが、Microsoft HoloLens 2です。

スマートデバイスの次世代コンピューティングプラットフォームとして

マイクロソフト社は基調講演という重要な時間の実に4分の1を割いてまでして、HoloLensをプロモートしました。

HoloLensは一見、数年前から市場に出回ったいわゆる「ウェアラブル」デバイスの一種のようにも見えますが、同社はこれをただの既存のコンピュータの延長線上にあるものではないとしています。
同社はこれを画期的な製品だとし、1970年代のパーソナルコンピュータ、2010年代のスマートデバイスの次の世代を切り開くものだと位置づけています。

基調講演にて同社のテクニカルフェロー、アレックス キップマン(Alex Kipman)氏本人が直々に登壇し、次のように語りました。

世の中に初めて人に「コンピューティングパワー」を提供し、「PCの前で」インターネットにつながる体験をもたらしたのがパーソナルコンピュータ(PC)。

「いつでも」「どこでも」「手軽に」コンピューティングパワーを提供したのがスマートデバイス。

そして今まさに日の目を見ようとしているのが、「物理とデジタルを融合する」コンピューティングパワーを提供し、デジタル情報を3次元の世界に拡張されるようにするもの。

それが同社が提唱する「Mixed Reality(MR:複合現実)」の概念であり、それを具体的に実現するのが同社の最新テクノロジーの結晶、HoloLensなのです。

2年半のフィードバックを経て大幅に前進したHoloLens

とまあ、de:codeの熱量を様々にお伝えしていきたいところではあるのですが、
Microsoft HoloLensについては情報があまねくWeb上に転がっているので、ここでは製品の基本的な説明をいたしません。

この製品の定義は「現実世界の中に、あたかもそこに存在するかのようにデジタル情報を3Dで表示できる」であると一言だけ残しておくとして、

前置きはそこそこに、これ以降はセッション中に公表された、HoloLens 2の改善点・アピールポイントについて述べていきます。

新機能徹底解説

基調講演の熱も冷めやらない5月29日の昼過ぎ、HoloLens 2の新機能や改善点を徹底解説するというセッションが行われ、幸運にも筆者は参加の機会に恵まれたため聴講してきました。

このセッションは、今年2月から徐々に情報が開示されてきた新バージョンのHoloLensについて、それぞれアピールポイントを矢継ぎ早に紹介していくものでした。

初代HoloLensの軌跡と、HoloLens 2が示す次のステージ

初代HoloLensはその初登場時から活用の場を産業、私生活、デジタルエンターテイメントを問わず様々に期待されましたが、特に先に目覚ましい利用のされ方をしたのは産業面でした。
HoloLens 2では“正統進化した”とされる性能をもって、様々なシーンで活用されていくだろうと予見されます。

セッションでは開始早々、華々しいデモムービーが演示されました。

昔からSF作品で想像されてきたような働き方や試みが、HoloLens 2を使うことで、たとえば医療、現場工事、エンターテイメントで体験できることを容易に想像できる、というメッセージを強烈に伝えてくる出来で、それは期待を湧きたてられるものでした。

HoloLens 2がもたらす主要なイノベーションとして、大きく分けて以下の3点が提示されました。
以降は、これらについて記述していきます。

  • Key Innovations of HoloLens 2
  • 1. Comfort: 快適感の向上(2倍)
  • 2. Immersion: 没入感の向上(3倍)
  • 3. Time to Value:価値創造時間の短縮

1.快適感の向上

ユニバーサルフィット

  • どんな構造の頭にもフィットするように設計した。
  • メガネをかけていても問題なく装備することができる。
  • 重量バランスの入念な検討により、初代では気になった重量感を感じにくくなった。
  • 額の部分にクッション
  • 「重量は変わらないのに野球帽をかぶる感覚」「鼻が痛くならない」という所感
  • フリップアップバイザー

フリップアップバイザーは特に日本からのフィードバックが多く、実装した機能とのこと。「お面」の部分を手で上にスライドすることで、HoloLensを脱がずして顔を外にさらすことができる。目を合わせて人と会話したい、被りながらでもコーディングするときにはガラス面をどかせたい、など、いかにも日本らしい細やかな要望に応えたとのこと。

2. 没入感の向上

  • 視野角が2倍、しかし画質劣化無し:
     視野角(HoloLens に映る映像の広さの範囲)を2倍に広げておきながら、解像度も同じく拡充したため画質の劣化無し。(視野角1度あたり23→47ピクセル)
     片方の目で2Kの解像度を有するとのこと。
  • 新たな業界標準となるほどの、MEMSレーザースキャニングディスプレイを新規開発
  • ハンドトラッキング機能の改良:
     HoloLensをかぶった人の手の動きを認識して、HoloLensが投影するホログラムの世界に「直接手で触れる」体験を提供する機能ですが、これも改善されました。
    人の手をより詳細に認識するようになりました。両手、しかも指10本に至るまで!
  • ホログラム(≒3Dオブジェクト)を「手でつかめるようになった」:
    ホログラム上に表示されたオブジェクトに手を触れようとすると、その物体をショーウィンドウのように囲む枠(ボックス)が表示されます。それを、まるでパソコン上でアプリのウィンドウの角をマウスでドラッグして伸縮させるのと同じ感覚で、手づかみでオブジェクトを伸縮できます。
  • ジェスチャー機能の拡充:
    オブジェクトに対し、人の手で様々に干渉することができるようになっています。
  • つまむ、つかむ、にぎる
  • 移動させる、回す、サイズを伸縮させる
  • 表示されるボタンを押下:
    これはホログラム上にスタートメニューやキーボード、球体を表示させ、それをボタンとして押下できるようにするものです。
  • 表示されるスクリーンを操作:
    ホログラム上に表示されるスクリーンを、あたかも物理世界でタブレットを操作するかのようにタッチ・スクロール・ズームすることができます。
  • オブジェクト操作の遠近:
    手が届かないような位置にある3Dオブジェクトもに対しても、近くにあるものと同様に操作可能です。手から「光線が出て」、それで遠くのオブジェクトを操作できます。
  • 深度センサーの改良:
    このセンサーの改良により、奥行きも含めた空間マッピングの認識も改良されました。さらにはセマンティックな認識もできるようになり、今いる部屋にある物体それぞれについて意味を持って認識できるようになっています。たとえば、「これは人が座る椅子」「これは机」といったように。
  • アイトラッキング:
    鼻のあたりにレーザーセンサーを実装し、HoloLensをかぶった人の目や目線を認識する機能が追加されています。初代HoloLens では、被った人が頭の向きを変えることで対象を切り替えていましたが、これにより目線で対象を切り替えることが可能になっているとのことです。
  • Windows Helloとの連携:
    アイトラッキングのおかげで虹彩認証を実現でき、それをWindows Helloと連携することで、被った人間が誰なのかHoloLensが認識できるようになっています。
  • 音声認識の改良:
    マイクの追加とノイズサーキュレーションにより、ノイズが多いところでも音声をHoloLensに認識させやすくなるようになりました。
    いわく、「航空機の中のような静けさ」で。

3. 価値創造時間の短縮

いわゆるインテリジェントクラウドのガジェットとして、インテリジェントクラウドと連携し、高い付加価値の創造を、しかも所要時間を短縮して行うことができる。これを3つ目の売り文句にしました。

初代 HoloLensはその初登場時から活用の場を産業、私生活、デジタルエンターテイメントを問わず様々に期待されましたが、特に先に目覚ましい利用のされ方をしたのは産業面でした。

Dynamics 365との連携

HoloLens 2では、同社が推進するERP/CRMパッケージ、「Dynamics 365」と連携させ、「Dynamics 365 Mixed Reality Applications」というスイートを発表しています。

特に「Dynamics 365 Business Applications for HoloLens 2」として発表された機能には、以下のようなものがあります。

  • Remote Assist(より迅速に問題解決):
    現場の作業員(First-line workers)と遠隔地にいるエキスパートが視点を共有し、リアルタイムに問題解決を支援
  • Layout(より効率的な空間設計):
    現実世界の中で実際の大きさで空間を設計し、その中を自由に歩き回り、その場でデザインを編集できるように支援
  • Guides(より実践的な学習):
    ひと工程ずつ(Step by step)段取りを踏んだ3D作業手順をホログラムに投影しながら指導することで、トレーニング効率、ひいては生産性の向上を支援

パートナープログラム

またMixed Realityパートナープログラムも用意されていて、すでに十数社が参加しています。

Mixed Realityアプリケーション開発

アプリケーション開発にも力を入れています。

  • ゲームエンジン、3D開発ツール
    これまでunity、vuforiaをサポートしていましたが、新たにUNREAL engineもサポート対象になりました。
  • Visual Studio・SDKとの連携、MRTK(Mixed Reality ToolKit)

初代HoloLensから2へのアプリ移行

以下のようなガイドが示されています。

  • Step 1. プロジェクトをUnity 2018.3へアップデートする
  • Step 2. MRTK vNextへアップデート/アップグレードする
  • Step 3. アプリケーションを、ARMプロセッサ用へコンパイルする
  • Step 4. HoloLens 2に実装する。

ちなみにCPUアーキテクチャはARMへと変更になっています。

Azure クラウドとの連携 – Microsoft Azure Mixed Reality Services

HoloLensとAzureを連携させ、より深いユーザー体験を提供出来るようシステムを構築できるようになります。

  • Azure Spatial Anchor:
    HoloLensでの体験を、HoloLensにとどまらず、クロスプラットフォームでシェアできるようにするAzureサービス。iOSや AndroidなどのデバイスとHoloLensとで関心地点を正確に共有し、指定して呼び出すことが可能です。
  • Azure Remote Rendering:
    数千万ポリゴンに及ぶような巨大なデータを扱いたいですよね。でもさすがにHoloLens にはそこまでのパフォーマンスを期待できません。そこでレンダリング処理をAzure へオフロードさせ、Azureのパフォーマンスをもってレンダリング処理をし、その結果をHoloLensへ引き渡すような仕組みを構築することが可能です。

値段

気になる値段ですが、プランが複数提示されています。

  • デバイス単体の購入なら、1台あたり3500米ドルで買い切り可能。
  • D365 Remote Assistを同梱したプランなら、1人月あたり125米ドルの月額課金
  • 開発者向けのエディションであれば、1台当たり3500米ドル、もしくは毎月99米ドルの月額課金
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