Azure Site Recoveryを利用したオンプレミスからAzureへの移行

こんにちは。インフラ担当のサトウです。やや旬を過ぎた話題となりますが、今回はAzure Site Recoveryを利用したAzure移行について紹介します。


オンプレミスサーバのAzure移行について

2020年1月にWindows Server 2008がついにEOSを迎えます。

参考)Microsoft サーバー移行支援センター
https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/cloud-platform

サポート期間を過ぎたサーバは、脆弱性対策を施すことが出来なくなりセキュリティインシデントの原因となってしまいます。その際Azureへ移行した場合、オンプレミスではサポートが終了するWindows Server 2008が+3年間の延長サポート対象となります。
ただし移行と言っても様々な方法があり、代表的なものはオンプレミス上で稼働するサーバをそのままクラウドのIaaSへ移動するLift(リフト)となります。

今回はIaaSへの単純移行を支援するサービス、「Azure Site Recovery」について紹介します。

Azure Site Recoveryとは?

Azureの標準機能として、「Azure Site Recovery」(以後ASR)という機能があります。これはオンプレミス上のサーバをAzureへ移行を支援するサービスで「VMware」、「Hyper-V」などで稼働するサーバをAzureへ移行することが可能です。さらに、ASRはクラウド間での移行もサポートしており、Azure間のDR構成、AWSなど他社クラウドからのAzure移行も実現可能です。
また、Windows以外にもLinuxもサポートしています。

では実際にAzureへの移行を試してみましょう。

移行デモ

#前提条件

Azure Site Recoveryの要件は以下のドキュメントで確認できます。

参考)オンプレミス Hyper-V VM から Azure へのディザスター リカバリーのサポート マトリックス
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/site-recovery/hyper-v-azure-support-matrix

なお移行には以下の前提をクリアする必要があります。
・移行対象のOSがASRでサポートされていること
 →移行方法によって移行可能OSが異なります
・Hyper-VホストがAzureと接続可能なこと
 →今回はオンプレミスのプロキシサーバ経由でAzureと通信します
・転送に必要な帯域が確保されていること
 →帯域スロットリングも可能です

Hyper-V環境からの移行の場合、ゲストOSへエージェントを導入する必要が無いため余計な再起動は発生しません。

#移行環境

今回はオンプレミス上に用意しているHyper-VのゲストOSをAzureへ移行します。オンプレとAzure間はS2SVPNで接続します。

 ホストOS:Windows Server 2012 R2
 ゲストOS:Windows Server 2012 R2(Gen1)

#移行手順

移行には大きく分けて2つのフェーズがあり、一つ目はサーバのデータを転送する「レプリケーション」、2つ目は転送されたデータからサーバを立ち上げる「フェールオーバ」となります。なお非常に長くなってしまうため細かい手順は割愛します。

・セットアップ

1.Recovery Services コンテナーを作成
2.「インフラストラクチャの準備」を選択
3.オンプレミスからAzureへ、仮想化の種類はHyper-Vを選択(今回はSCVMMは非搭載)
4.Hyper-Vサイトの作成、Hyper-Vサーバを追加

5.ポータルからASRProvider.exeをダウンロードし、Hyper-Vホスト上でインストールを実行

6.資格情報を設定しAzureへの認証を行う

7.ターゲット情報を入力

8.ポリシーを設定しレプリケーションの開始を実行

・レプリケーション

1.「レプリケーションを有効にする」からソース環境を選択

2.ターゲット環境を設定
  移行先のストレージアカウント、VNETを指定

3.移行対象のサーバを選択

4.プロパティの構成
5.レプリケーションを開始
 ※移行対象サーバの容量によりレプリケーションの時間は変化する
6.レプリケーション完了まで待機

・フェールオーバ

1.フェールオーバーの開始
 ※フェールオーバ実施前に「テストフェールオーバ」の実施を推奨

2.Azure上にVMが作成される

3.問題なければ移行完了操作を行い、移行作業を完了する

まとめ

#メリット

・簡単な移行
・UEFIブートの移行(Win2012以降のバージョン)
・DR環境での利用
・幅広いOSのサポート
・コストメリット
 →レプリケーション~フェールオーバの一連の操作を31日以内に完了すると、費用が発生しない
 ※31日を超過した場合、1インスタンスあたり月¥3,000の費用が発生

#注意点

・ASRのサポート対象のOS
Windows Server 2008は32/64bitの2つがあり、32bit版でもService Pack(SP)の適用状態によってASRを導入可能です。しかし移行後の動作についてはサポートの対象外となるため、注意が必要です。

・移行後に利用できないサービス
AzureVMAgentのサポート対象外OSの場合、移行後にAzureBackupなど一部のサービスを利用できません。

参考)Azure Site Recovery Agentの導入可能なWindows Server一覧(VMware、物理サーバからの移行が対象)

OS名Service Pack判定
Windows Server 2008なし×
SP1×
SP2
Windows Server 2008 R2なし×
SP1
Windows Server 2012
Windows Server 2012 R2
Windows Server 2016
Windows Server 2019

※同じ2008でもAzureのサポートするバージョンが異なるため注意が必要
参考)Windows Server 2008 を実行しているサーバーを Azure に移行する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/site-recovery/migrate-tutorial-windows-server-2008

#所感

お手軽かつ低コストでサーバを移行可能なため、Azureへの移行を検討している場合お勧めのサービスです。ただしASRの要件は移行方法、移行対象によって複雑なため、条件によっては「移行は可能だがAzure上での動作はサポート外」、「ASRのサポート外のため移行が不可能」という状態に陥るため、移行の際はサポート要件を正しく確認しましょう。

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