Digital Twinの世界

この記事はFIXER Advent Calendar 2019 (https://adventar.org/calendars/4579) 15日目の記事です。
Digital Twinについて以前から興味があり少し調べてみたのでシェアしてみたいと思います。前日は市岡さんの『スクレイピングする際の自分なりのベストプラクティス』でした。

-Digitl Twinとは-

Wiki
digital twin is a digital replica of a living or non-living physical entity….

生命体または非生命体をデジタル上でレプリカとして再現するというものですね。昨年10月にガートナーが発表した「ガートナー、2019年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」などで知った方も多いと思います。米国でのハイプ・サイクルでは「過度の期待」のピーク期に位置づけられてます。

先進テクノロジーのハイプサイクル:2018年(出典:ガートナー ジャパン、2018年8月)

デジタルツインでは、従来のシミュレーションを超え実環境のセンサーなどから集められたデータを収集・解析するため、より現実に近いモデルを創ることができると言われています。一昔前まではデータの入出力に人手が必要となりその負荷が大きかったためにシミュレーションの幅に限界があったり、現実的に起きている故障などの異常値を再現することが難しい現実がありました。

しかし、世界中にに展開されたクラウドコンピューティングの登場に加え、ネットワークの高速化、デバイスの高スペック化により膨大なデータをリアルタイムで取得し続けることが可能となった結果、デジタルツインが実現できるようになったというわけです。更に来年から通信事業者各社が計画している次世代通信規格「5G」による超高速かつ超低遅延データ通信により、更に活用が進むと考えられています。

-様々な分野でのDigital Twin活用-

Digital Twinの事例として有名な企業の1つは、なんといってもゼネラル・エレクトリック(GE)社です。飛行中の航空機のエンジンから集められたデータをデジタルツインで解析し予め空港に交換部品を用意したり、風力発電所内のひとつひとつの発電機が最も効率的に機能するようタービンを個別にカスタマイズしたり、下水処理場の廃水処理プロセスの効率化によって大幅なコスト削減を実現しようとしたり、様々な取り組みを行なっています。

その他でもシーメンスなどIoTが先行してる製造業はDigital Twinの活用が進んでいるようです。日本ではデンソーでのCaaS/MaaS基盤など話題となってます。

「世界で最もスマートな港」というビジョンを掲げているロッテルダム港では、天候や水位といったウェザー情報と各センサーの情報を利用し、入出港や停泊の管理業務を同時に監視することで、船舶の停泊時間が1時間短縮し、8万ドルものオペレーションコストの削減を実現しました(1時間で8万ドル、恐ろしや港のオペレーション。。。)。結果、1日あたりの停泊する船の数が増加し、ロッテルダム港を利用する積荷の量の増加と効率の向上を同時に実現しました。2030年までに港での自律航行を可能にします。

シンガポールではシンガポール全土を3Dモデル化した「バーチャル・シンガポール」などが知られています。産学官民が様々な目的に使えるようにすることを目指しており、NRF(シンガポール国立研究財団)が公開しているプロジェクトビデオで、バーチャル・シンガポールのさまざまな活用法が紹介されています。 今年9月、ジョージア工科大学ではスマートシティデジタルツイン技術の未来に関するワークショップを開催したりしています。

Uses of Virtual Singapore

日本でも同様なプロジェクトが始まるようです。国土交通省は2019年5月30日、「国土交通データプラットフォーム(仮称)」の整備計画を策定したことを発表しました。

その目的は、国交省が保有するデータと民間のデータを連係させ、現実空間としての日本をサイバー空間に再現した「デジタル・ツイン」を構築することです。その成果を業務の効率化やスマートシティなど国交省施策の高度化に生かすとともに、産学官連携によるイノベーションの創出を目指しています。

その他では「Digital Twin of an Organization(DTO)」といった企業や組織(を構成する人、システム、環境、資産、運用形態、業務プロセスなど)をデジタル上に再現することにより企業のデジタルトランスフォーメーションを実現することや、Pilips社では生活関連情報や遺伝子情報などによる健康維持や重症化の予知など予防的なヘルスケアとしてDigital Twinの活用が進んでいます。

-Azure Digital Twins-

昨年のIgniteで「Azure Digital Twins」が発表され話題になりました。現在はSteelcaseでのコネクテッドワークプレイス、PCL Construction LLCやICONICSのスマートビルディング、thyssenkrupp Elevatorのインテリジェントビルディングなどが紹介されており、プレビュー版として提供されてます。

同時に「Azure Sphere」が発表されました。MS社認定のマイクロコントローラーユニット(MCU)、カスタム仕様のLinuxカーネルを用いた「Azure Sphere OS」、そしてデバイスを保護するクラウドサービスの「Azure Sphere Security Service」によって構成され、IoTデバイスのエンドツーエンドのセキュリティとしてプレビュー版が提供されてます。

Xboxでの経験と学習から作られたセキュリティが組み込まれたMCUを利用や、Azure Digital Twinsで創られたモデルをHoloLensを用いて再現するようなケースなど、クラウドに限らないMicrosoft社ならではの強みですね。

また、12月10日にNTTとマイクロソフトとの新たなデジタルソリューションの実現に向けた戦略的提携が発表されました。「グローバル・デジタル・ファブリックの構築」、「企業向けデジタルソリューションの開発で協力」、「次世代技術の共創」の3つのエリアで推進され、次世代技術の協創の1つとして「デジタル・ツイン・コンピューティングの分野における次世代技術の共創」に取り組むようです。まさに巨人同士の提携。今後の具体的な成果に期待したいです。

以上、まとまりなくご紹介しましたが、一部でも皆様のご参考になれば幸いです。

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