在宅勤務でも進めるチームビルディング Step6:意図的な雑談の必要性
2020-05-13
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はじめに

こんにちは。FIXER名古屋事業所の笹尾です。
今回はメンバーからみた『official chat time』の価値について解説したいと思います。
意図的な雑談がなぜ必要で、その雑談から何が生み出されるか?
僕自身も全くコントロールしていない3人の雑談の感想を通して見てみたいと思います。

前回の記事について

前回の記事はこちらにあります。合わせてお読みいただけると嬉しいです。

『人生曲線』でメンバーの背景を知るきっかけが掴めた

強制的に雑談の時間を作ると共通の話題が枯渇して苦しくなる時がありますね。この時、何か共通の話題やテーマをあえてを作って会話すると新しい発見が生まれます。
僕も関さんから感想を聞くまでは全く知りませんでしたが、名古屋事業所のメンバーでは『人生曲線』をそれぞれ書いてみたそうです。

『人生曲線』とは

タテ軸に自分の人生の浮き沈み(幸福度、充実度、モチベーションなど)を、ヨコ軸に時間(自分の年齢)をプロットし線を描きます。良い時は上に波打ち、悪い時は下に波打つ形状になります。
例えば浮き沈みをモチベーションで書くと、自分が何に対していつどれぐらいモチベーションを持って取り組んでいたのか?振り返りながら自分を見つめることができます。また、幸福度は当時感じた幸福度と現在から見て俯瞰した幸福度を重ね合わせることで自身の価値観の変化も知ることができます。
他人からはこの曲線だけを見ても意味がない様に見えますが、他の情報や興味が加わることで双方の背景理解にとても有効なツールにもなります。

チームでやって良かった事

関さんから感想を聞いた時、特に面白かったのは『凹みについて聞きやすい』事でした。
例えば、今の現状で以前より少し凹んでたりした場合は同じメンバーとして気になるので理由を聞きたくなるし、
遠い過去でも極端に凹んでる部分について聞くきっかけを得やすいそうです。
また、一部のメンバーに凹みがないのも面白かったそうで、メンバーの価値観や特性への理解が得やすかったのではないでしょうか?

僕が知っている『人生曲線』を利用した他のチームでの事例

僕の知り合いの方がマネジメントするチームでは、全員の自己紹介を常に壁面に掲示してチームメンバーの背景理解を深める取り組みが行われています。この取り組みは自己紹介を参入時の一時的なものにするのではなく、常にメンバーの背景理解が進み多面的に人物像が捉えられる様に設計されていると考えられます。
その時に自己紹介と一緒に人生曲線(モチベーション)を作成し自己紹介の一部として常に壁面に掲示する事で、長所・短所・特技・趣味・スキルなどの表面的な部分だけでなく時間軸とモチベーションという新たな側面で人物を捉える機会を与えてくれると思います。

『ラジオ体操』で在宅勤務の運動不足を少し解消できた

新型コロナウイルスの対応で多くの人が在宅勤務になっているかと思います。
そうなると、以外に辛くなるのが運動不足。電車やバスで通勤していても少し歩いていたことでなんとか満たしていた運動量も激減。
さらに緊急事態宣言や感染予防への自粛から家から一歩もでない日も多くなりました。
そこで、チームが自発的に始めたのはラジオ体操です。
このラジオ体操が思いのほか良かったと話してくれたのは望月さんでした。

チームでやって良かった事

当初、僕がラジオ体操の感想を望月さんから聞いた時は運動不足を自発的に解消できることがとても嬉しく感じている様でした。
朝の『official chat time』で誰かがテレビ会議にラジオ体操を流し、みんながカメラの前で体操していました。
VTRや音声は遅延するし、場合によっては一瞬音声が途切れて詰まってしまうこともあります。
カメラの前で体操していても遅延でバラバラの動き、動画を流している間の会話はあまり上手くできません。
この様な状況で他のメンバーからある提案を受けたそうです。それは、「それぞれが同じ時間に同じビデオをローカルで再生して体操しよう」です。
この時、望月さんはなんとなく違和感を感じて大切な事に気がついた様でした。

『一緒にやるから一体感があって楽しく続けられる』

動画や音声の遅延や欠落でバラバラになっているラジオ体操でもチームは一体感を得ていたのです。
僕は感動でした。リモート勤務で少し案件間で時間の余裕があるタイミングなのに一体感を得られるチームって最高だと思います。

『ラジオ体操』のよくある事例

ラジオ体操を朝の時間に取り組んでいる会社は数多くあると思います。僕も建設現場に納品する仕事などで体験したことがありますが、松枝さんもその様に他の会社で体験した事のある一人でした。
その松枝さんがポツリと言い放ったことが僕には印象的でした。

『ラジオ体操は楽しいのに、他の会社とかだと楽しくなさそうにやっている人が多いですよね。』

僕もそう思います。メンバーの健康を考えて同じことをするのになぜ、体操をする人の感想がこれほど変わるのでしょうか?
きっと自分たちでやりたくてやっているか、他の人に押し付けられたかの違いではないでしょうか?

業務に関するすごくアバウトな不安、悩みを話せる

これは松枝さんが教えてくれた感想で、「設計や実装に関してまだ「相談」の状態まで昇華できていない、すごくアバウトな不安、悩みについて口を開くきっかけがある」ことが嬉しかったそうです。

不安はタチが悪い

開発のマネジメントをしていく中で、僕が気がついたのは『多くの失敗は不安から生まれる』ことでした。
不安は本人が気がつかない間に心を占領し、判断を鈍らせ無意味な行動にかき立てます。
無意味だけなら時間のロスで済みますが、願っている方向とは逆方向に行くことが多いのではないでしょうか?それが権限を持った人であった場合は組織の混乱から逃れられません。
『official chat time』で強制的にメンバーが話す時間を取る事によって、本人が仕事として相談しにくい不安を吐き出す時間を作れたり、他のメンバーが誰かが不安に染まっていく事に気がつきやすい環境が生まれます。

これは普段からメンバーでのたわいのない雑談が重要な理由の一つです。

謎の人間不信感を無くす良いきっかけになる

これも松枝さんが教えてくれたメリットです。
『リモートワークで仕事以外の会話をしない状態が続くと謎の人間不信感が発生しがちだ(と思う)が、それを「そうじゃないんだよ」と思いだせる良いきっかけになる』
とってもいい感想じゃないですか?雑談するだけで不信感が消えるんですよ。
というだけでは、全くチームビルディングの記事にならないので簡単に僕の意見を書いてみましょう。

人間不信に陥る相手

実は不信感を抱く相手が悪いからという事例は、不信感を抱く相手の数に対して極少数であることがほとんどだと思います。
例えば、今この記事を読んでいる人が一番人間不信に陥った時、その時信じられなかった周囲の人のうち本当に自分に嫌な思いをさせた人は何割いたでしょう?その嫌な人のうち信頼関係を構築しても防げないほどの性悪な人は何人いたでしょう。
きちんとプロセスを踏んで論理的に考えた時、些細なすれ違いなどあれど相手が自分にとって最初から性悪なことは少ないと思います。

疑心暗鬼という言葉の意味を知ろう

『疑心暗鬼』は人が疑いの心を持つことで暗闇というだけで鬼がいる様に見えるという言葉で、中国の春秋戦国時代に書かれた『列子』という書物にある以下の話が元となってできた故事成語です。

ある人が斧をなくしてしまいました。隣の息子が盗んだのじゃないかと疑います。きっとそうだ。あの歩き方、あの顔色、あのしゃべり方、あの態度…どれもこれも斧を盗んだ人間のものだ。
ところがふと気がついて窪地を掘ってみるとそこから斧が出てくるではありませんか。その後その隣の息子をまた見てみると動作も態度も斧を盗んだ人間の様子には見えなかった。

普段の生活の中で鬼が見えるほど疑いを持たなくても、鬼を不信人物と捉えてみると疑いは何か犯罪的な疑念だけでないことがわかります。
自分の心の中になんとなく潜む自信のなさ、評価への恐れ、行き詰まり感など様々な不安も疑いと同じ様に自分の見る目を変えてしまうのです。
この状況にリモート勤務による閉塞感、先行きが不透明なプロジェクト運営、資金が不足しそうな活動など暗闇が加わると、人間不信という鬼が身近に現れるのです。

ポジティブな認知的不協和の解消をしよう

人間はある事柄に対して矛盾する事実(不協和)を突きつけられると不快感を抱き、その不協和の度合いに応じてその不快感を低減させるための圧力を強める性質があると言われており、これを『認知的不協和』と言います。
例えばある側面をみると良い人に感じるのに、苦手な側面も持っている人がチームメンバーにいるとします。
(実際価値観が全く同じということはないので、ほぼ全ての人がこの様な人だと考えて良いでしょう。)

先ほど説明した疑心暗鬼な状態でメンバーに接した時を考えてみましょう。
メンバーが温かく親切だったりフレンドリーさを感じると不協和を低減するために、そもそも事実とは異なる疑心暗鬼な部分を無意識に消し去ります。
ところが、仕事上の人間関係が業務的で無機質で本来人間的に良くも悪くも感じないコミュニケーションに限定された場合は、その無機質さをメンバーの鬼な側面と捉えてしまうのです。

人間の性質がわかっているのであれば、利用しない手はありません。
それぞれの相互理解を深め、チームのメンバーは完璧ではない自分と同じ人間だという自覚を持つことで、無駄な不信感を抱くことはなくなるのです。

まとめ

今回は名古屋事業所のチームでしばらく継続した『official chat time』の効果を紹介させていただきました。
実は僕はチームの『official chat time』には参加していません
メンバーから僕に枯渇しそうな話題の相談を多少されたことがあっても、今回紹介した取り組みはすべてメンバーが自発的に考えて行ったものでした。
このメンバーの感想こそ誰かが常に管理していなくても高い効果を生み出すチームの成長がみれらるいい事例だと思います。
たかが雑談、されど雑談、無理しない程度の短いポジティブに雑談をすることでチームは飛躍的に成長する機会を得ます。
皆さんも業務時間中の雑談の力を信じてみてはいかがでしょうか?

チームビルディングについては今後も時期を見ながら連載として記事を作成したいと思いますので、よろしくお願いします。