この記事は FIXER Advent Calendar 2020 ( https://adventar.org/calendars/5928 ) 23日目の記事です。
上下関係やその組織における慣習に囚われず、仕事において感じたことを相手に率直にフィードバックすることはとても大切です。
VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧性)の時代では、正しい計画を上層部が起案し、それを実行メンバがその通りにExecuteするケイパビリティよりも、組織が一体となって、フィードバック・ループを機能させられる力の方が、重要な競争力の源泉になるといっても過言ではないでしょう。
フィードバックによって、仕事の次元をより高めていく機会が生まれ、本人の学習の機会も生まれます。
本心では、誰もが自分のしたことや行動に対してフィードバックを求めているということについて、多くの人が頷けるのではないでしょうか。
ただ、フィードバックをすることは、軋轢を生むこと、相手を傷つけること、「空気を乱す」ことにもなりかねませんし、自分の考えが間違っているかもしれないという気持ちにも苛まれるでしょう。そのため、組織においてフィードバックをすることは躊躇われる傾向にあります。
全世界で1億人以上の契約者を有するオンライン動画配信サービスのNETFLIXは、特出した企業文化を持つ存在としても知られています。
そのNETFLIXでは、組織作りを行ううえで重要な要素として、フィードバックを挙げています。
フィードバックを口にしないことは会社への背信行為であるとも位置づけており、率直なフィードバックを社員に求めます。
(『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』より)
もちろん、フィードバックをすることは、先に挙げたように人間の本性として躊躇させてしまう面もありますし、率直に指摘することを許容することが逆に悪用されないようにも注意する必要があります。そこでNETFLIXでは、「4A」と呼ばれるフィードバックのガイドラインを設け、建設的なフィードバックを促進しています。
フィードバックにおける「4A」
1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)
2.Actionable(行動変化を促す)
3.Appriciate(感謝する)
4.Accept Or Discard(取捨選択)
◇フィードバックをする
1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)
自分のイライラを吐き出すため、相手を傷つけるため、あるいは自分の立場を強くするためにフィードバックをすることは許されない。行動を変えることが相手自身、会社にとってどのように役立つのか、明確に説明する。
2.Actionable(行動変化を促す)
フィードバックはそれを受けたい相手がどう行動を変えるべきかにフォーカスすべき。「違うと思います」ではフィードバックとしては落第だ。
◇フィードバックを受ける
3.Appriciate(感謝する)
批判されると自己弁護をしたくなる。反射的に自尊心を守ろうとする。フィードバックをもらったら、この自然な反応に抗い、「感謝を示し、真摯に耳を傾け、とらわれない心で相手のメッセージを検討するにはどうふるまったらいいか」を自問しよう。
4.Accept Or Discard(取捨選択)
すべてのフィードバックに従う必要はない。受け入れるかどうかは本人次第だ。それはフィードバックを与える人も理解しておかなければならない。
(『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』より一部抜粋)
加えて、上司は、部下が自らにフィードバックをした際には、「帰属のシグナル」を示すことも求めています。
フィードバックした社員は、「上司に嫌われないか」「自分の立場がネガティブにならないか」に不安を感じるでしょう。
「帰属のシグナル」とは、「私との関係がおかしくなることはない。あなたはここの仲間だ」ということを肯定的なふるまいとして伝えることを意味します。
どの企業も、「官僚的」カルチャーになることを望んでいないはずですが、組織が拡大するにつれ、明示的または暗黙的なルールが形成され、社員が率直な意見を言いづらくなる雰囲気が形成されます。
それに抗い、イノベーティブなカルチャーを維持・形成するには、トップマネジメントが率先垂範し、上下関係に関係なく建設的にフィードバックを行えるようにすることが重要になると考えます。
もちろん、社員においても、意見を言う自由に対しては責任が伴うことを十分理解しておく必要があるでしょう。
今回ご紹介したNETFLIXは、特徴的な制度を数多く導入・運用していますが、社員の能力やカルチャーフィットに問題がある場合は解雇も厭わない厳しさもまた合わせもっています。
そうした面を踏まえず施策だけを表面的に取り入れてもなかなか機能しないですが、社員同士のフィードバックがうまくいっていないと感じた場合、今回ご紹介した「4A」を心掛けると、フィードバックしやすい関係性が醸成されてくるのではないかと思います。ぜひ、取り入れてみてください。