この記事はOpentelemetryシリーズの続編です。
Opentelemetryを楽に導入するAutomatic Instrumentation
今回はGrafana TempoをLokiと連携させTrace to Logsという機能を実装していきます。
構成図
+------------------+ +---------------+ トレース +---------------+
| アプリケーション | ---------> | Opentelemetry | ------------> | Grafana Tempo |
| | | Collector | | |
+------------------+ +---------------+ +---------------+
|
|
| +---------------+ ログ +---------------+
+---------------------> | promtail | ------------> | Grafana Loki |
+---------------+ +---------------+前回の構成にGrafana Lokiを追加しました。Lokiはざっくりいうとログデータを管理するシステムです。Promtailがログデータを収集しLokiに送信します。
バージョン
- grafana:6.58.6
- Loki:5.5.3
- Tempo:1.6.0
前準備
以下の準備が必要です。様々なドキュメントがありますがこの部分の解説が無く、実装に手間取りました。
- アプリケーションにTraceIDを出力させること
- そのTraceIDがOpentelemetryCollectorが収集するTraceIDと同一であること
そもそもTraceIDって何?についてはこちらの記事が大変わかりやすかったです。
まずはOpentelemetryCollectorが収集するTraceIDについて確認します。
以前のインストルメンテーションの記事で、下記のコードでアプリケーションが出力する観測データの設定を書いていました。
apiVersion: opentelemetry.io/v1alpha1
kind: Instrumentation
metadata:
namespace: default
name: instrumentation
spec:
exporter:
endpoint: http://otel-collector:4318
propagators:
- tracecontext
- baggage
sampler:
type: parentbased_traceidratio
argument: '0.25'注目するのはpropagatorsの部分です。こちらはデフォルトの設定をそのまま使っているのですが、公式ドキュメントによるとW3CTraceContextが使われています。
つまりアプリケーションにW3CTraceContextのログを吐かせればいいわけです。
ASP.NET Coreで実装する場合は、System.DiagnosticsクラスのActivity.CurrentでTraceIDを取得することができます。
Trace to Logの実装
前準備も済んだのでTempoとLokiの連携を実装していきます。基本的にはGrafanaの設定になります。
GrafanaTempoのデータソースの設定を開き、Trace to logsの項目に行きます。

データソースにLokiを設定します。
Tagsはある程度自由に設定できるのですが、今回はコンテナ名で検索する設定にしました。
Filter by trace IDをオンにします。これによってトレースIDでさらに絞り込むことができます。
すると下記のようなクエリが作られます。
{container="コンテナ名"} |="トレースID"
Tempoにこのようなボタンが出現すればOKです。
注意点として、DB通信のトレースなどはアプリケーションログに出力されないのでLokiでNotFoundが表示されます。
ログからトレースへの遷移
おまけでLokiのログからトレースを開く方法を紹介します。
実装するにはLokiで派生フィールドを設定する必要があります。
GrafanaLokiのデータソースの設定を開き、Derived fieldsの項目に行きます。

NameとRegexの「TraceID」という文字列は出力されるログのフォーマットに合わせる必要があります。リンクにTempoを設定することでログからトレースに飛ぶことができます。

Lokiにこのようなボタンが出力すればOKです。
最後に
今回はGrafanaTempoの利点であるLokiとの連携について解説しました。最近業務でGrafanaを触ることが多いのですが、かっこいいダッシュボードを作るのにハマっていたりします。また、GrafanaTempoはそこそこ新しいので高スパンでアップデートされているため日々アンテナを張っていければと思います。こちらの記事が実装の助けになれば幸いです。







![Microsoft Power BI [実践] 入門 ―― BI初心者でもすぐできる! リアルタイム分析・可視化の手引きとリファレンス](/assets/img/banner-power-bi.c9bd875.png)
![Microsoft Power Apps ローコード開発[実践]入門――ノンプログラマーにやさしいアプリ開発の手引きとリファレンス](/assets/img/banner-powerplatform-2.213ebee.png)
![Microsoft PowerPlatformローコード開発[活用]入門 ――現場で使える業務アプリのレシピ集](/assets/img/banner-powerplatform-1.a01c0c2.png)


