この記事で伝えたいこと
- 2025年の崖って何?
- 何が悪い?
- システムの刷新
- 役立つテクノロジー
2025年の崖って何?
2018年に経済産業省が発表した資料「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」の中で述べられた日本の企業・経済の未来予想のことです。
未来予想は以下のような内容です。 既存のシステムが老朽化・レガシーシステム化し、DXの推進の妨げとなる レガシーシステムの刷新が遅れ、DXの実現が遅れる DXの実現が遅れることで世界の市場でデジタル競争に負ける デジタル競争に負けることで、最大年間12兆円の損失が国内で生じる どうでしょう?
国民一人あたり年間で10万円ほどの損失が発生しているってことになります。
なぜこんなことになってしまうのか、少し詳しくみていきましょう。
何が悪い?
まず、DXレポートの当時の状況から確認をしましょう。
独立行政法人情報処理推進機構のまとめによると、2014年の日本国内のシステム障害による損失額は4.96兆円です。
また、少し時期はずれますが、日経BP社「日経コンピュータ 2017.8.3」によると、2010年代のシステムダウンのうち、レガシーシステムに起因して起きたものは79.6%です。
つまり、(4.96兆円×79.6%≈)4兆円が、レガシーシステムが原因となって損失が出ていると推測できます。
次に将来、つまり2025年に目を向けてみましょう。
日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書2016」によると、企業が21年以上前から同じ基幹系システムを利用している割合は20%、11年から20年間利用している割合が40%です。
この状態のまま2025年になると想定すると、企業が21年以上前から同じ基幹系システムを利用している割合が60%になり、2016年当時の3倍となります。
これらの情報から以下のような考察ができます。
2010年代中盤のレガシーシステムに起因する損失は約4兆円であり、その時のレガシーシステムを使用してる企業の割合が20%である。
2025年にはレガシーシステムを使用してる企業の割合が60%となり、2010年代中盤の3倍となることで、レガシーシステムに起因する損失も2010年代中盤の3倍である約12兆円になるのではないか。
これが年間12兆円の損失の根拠です。
12兆円 = (システムによる損失額)×(レガシーシステムが原因の割合) 「システムによる損失額」か「レガシーシステムが原因の割合」を削ることで、12兆円を小さくすることができそうです。
「システムによる損失額」これはシステムを使用している以上、受け入れないといけない、もしくはシステムという概念そのものの改革なので中々に難しそうです。
となると、「レガシーシステムが原因の割合」を下げれば良いですね。
レガシーシステムが減ることで、レガシーシステムが原因となる割合も下がるはずです。(若干の詭弁感はありますが結論は同じですね)
なので、レガシーシステムを減らしましょう、新しくして運用・保守をできるようにしましょうというのが、2025年の崖が訴えていることですね。
システムの刷新
じゃあシステムをさっさと新しくしてしまおう!とならないのはなぜでしょう。 よくあるような理由は以下のようなものではないでしょうか?
- 複雑化しすぎてどこから手を付けていいかわからない
- お金がかかる
- 刷新の必要性を感じない(現場の要望は満たしている)
- セキュリティリスクが不安
- ネットワークダウンが不安
- コンプライアンスの確保ができない
- 改善の効果や必要性が経営陣に理解されにくい
- 一部の部門だけで手掛けて全社的な取り組みになっていない
- 既存システムの機能の継承にこだわる
- 業務改革(業務プロセスの標準化等)が必要になるのでハードルが高い
1〜10のうち技術的な課題は1, 4, 5, 9あたりでしょうか。 いくつか役立つテクノロジーの紹介を次の章でします。
役立つテクノロジー
1, 10については、まずレガシーから脱するために、マイグレーションサービスやツールを利用するのは一つの有効な手段です。
まずはシンプルにレガシーを使わない形にする(クラウドリフト)、それからシステムを最適な形に作り替える(クラウドシフト)この様にいくつかステップを踏んでいくことが重要です。
一気に全てを達成しようとすると脱レガシーすらままならなくなり、徒労に終わってしまうことも多々あります。
最近では、マイグレーションサービスやツールなどがあるので、まずはそれを使って脱レガシーを実現してみるのはいかがでしょう。
比較的安価で業務フローの見直しなども不要であるため、ハードルが低く2025年の崖に向けて確実な一歩を踏み出せるのではないでしょうか??
janus-studio
日本ラッドさんの提供する変換サービスで利用されている変換エンジンです。 元々はアメリカの省庁のマイグレーションなどにも使用されており、多くの実績のあるツールです。
Chameleon
株式会社リーディングソフトさんが提供するマイグレーションツールです。 元のCOBOLコードを踏襲した処理フローやキーワードで変換をしてくれるので、変換後の運用・保守も安心です。
opensource COBOL 4J
OSSであることが特徴の変換ツールです。 COBOLからJavaに変換をしてくれますが、ベンダーへの対応などはしていないので注意が必要です。 弊社でも実際の案件に使用した実績があり、その際には個別のベンダー対応や機能の拡充などを社内で対応しました。 弊社メンバーの書いたブログ記事があるのでそちらもご覧になってください。