【Microsoft AI Tour】MVCのCがAI駆動に!MVAアーキテクチャとは
2024-02-22
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※この記事は、2024年2月20日に開催されたMicrosoft AI Tourでの講演「MVCからMVAモデルへ:生成AIを組み込んだ次世代AI駆動アーキテクチャ設計思想」に基づいています。この講演は、日本マイクロソフトによって約15分間で行われたものです。

講演概要

従来のMVCアーキテクチャでは、アプリケーションのロジックをコントローラが中心となって管理し、ユーザーの操作に応じてモデルの呼び出しを制御してきました。しかし、AIの台頭により、従来のMVCアーキテクチャを進化させ、AIを中心に据えた新しいアーキテクチャ、MVA(Model-View-AI)が注目を集めています。この新しいアプローチにより、AIが状況に応じて最適なモデルを選択し、より動的で柔軟なアプリケーションの振る舞いが可能になります。

MVA_architecture_overview
MVAアーキテクチャのイメージ

MVAアーキテクチャは、開発者があらゆるユースケースを事前に定義する手間を大幅に削減します。これにより、アプリケーションの開発がより迅速かつ効率的になると共に、より軽量な実装が可能となります。ただし、AIによる判断に依存するため、同じ入力が必ずしも同じ結果をもたらすわけではないという点には留意が必要です。

この革新的なアプローチの実用例として、株式会社デンソーが開発したアームロボットのデモが紹介されました。このロボットは、「コーヒーを取る」「水を取る」といった基本的な動作のみがプログラムされており、複雑な動作の組み合わせはAIが状況を分析して自律的に決定します。例えば、「喉が渇きました、さっぱりしたものがいいですね」というリクエストに対して、AIが水を提供する最適な行動を選択し、実行する様子は、AI技術の可能性を象徴する一例として非常に興味深いものでした。

このように、MVAアーキテクチャは、AIの進化を取り入れた次世代のアプリケーション設計思想として、私たちの技術開発に新たな地平を開くことでしょう。

講演の感想と展望

AIが従来のMVCアーキテクチャのコントローラ(Controller)部分を進化させる、という考え方は実に魅力的です。私自身、AIオーケストレーション技術、特にSemantic Kernelなどに以前から触れてきた背景があり、この新たな設計思想には大いに共感しています。

MVCアーキテクチャでは、特定のユースケースに応じて関数が呼び出される方法が事前に定められています。しかし、Semantic Kernelを活用したアプリケーションでは、Plannerと称されるAIが、どの関数を、いつ、どのように呼び出すかを決定します。これは、まさにMVAアーキテクチャを実装した良い例ではないでしょうか。

AIエージェントの活用に関して、これまでの試行錯誤の時代は終わりを迎えようとしているのかもしれません。MVAアーキテクチャの登場により、アーキテクチャレベルでAIの利用方法が広く普及することになれば、AIで自律的に動くアプリケーションは、これから益々身近なものになるでしょう。

今こそ、AIによる自律判断と自律行動のメカニズムをあなたのアプリケーションに組み込む絶好の機会かもしれません。この先進的なアプローチにより、アプリケーションはユーザーにとってより直感的で使いやすいものに生まれ変わるでしょう。あなたも是非、次世代のアーキテクチャでAIアプリケーションを作成してみてください。

自律AIの花開く未来を夢見て。