日本の企業は何十年もの間、先進国の他の国々に比べてテレワーク政策に消極的であった。
日本では、生産性の高い従業員よりも常にオフィスに出勤している従業員を評価する制度が長く続いていたため、テレワークは考えられないことであった。
このことは、日本企業が「先進国の中で最も時間当たりの生産性が低い」といわれる一つの要因とされている。(日本データ)
しかし、このような保守的な考え方であっても、コロナウイルスが流行るまでは、なんとか日本企業は事業を継続することができていた。
ほぼ一夜にして、テレワークポリシーを持たない企業は、従業員全員の健康を危険にさらすか、事業を完全に停止せざるを得なくなった。
したがって、テレワークの能力を持っている会社であれば、どんな会社でもテレワークを推進し出社を禁止することができた。
テレワークが企業に与える3つのメリット
5月25日、日本政府は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を解除すると発表した。この危機に直面したとき、ほとんどの企業はテレワークによる業績悪化を懸念していた。
多くのアナリストは、ウイルスが一巡すると、ほとんどの従業員は再びオフィスに毎日出社することを余儀なくされるだろうと考えていた。
しかし、従業員にテレワークをさせることに消極的だった企業が、今ではテレワークを受け入れ始めている。
以上を踏まえ、これからテレワークが企業に与える3つのメリットを紹介する。
社員の本当の能力が明らかになる
テレワークによって上司と従業員が常に目の届く場所にいることが不可能になるため、上司は従業員に対するタスクとKPIを明確にしなければならない。
テレワークによって従業員の可視性が低下すると、単に忙しそうにしているだけではまかり通らず、積極的にアウトプットを提出して、結果を報告しなければならなくなり、実際に行った仕事が可視化されていく。
テレワークは、単に「出社している」ということだけで得られる評価をすべて取り除き、代わりに結果を強調することで、上司は非生産的な従業員をピンポイントで特定することができる。
オフィスコストの撤廃
企業にとって、職場を提供するという行為は、非常に大きなコストを必要とする。その上で更に、日本のほとんどの企業は社員の通勤費を負担している。
東京都心の賃貸は非常に高額である。 多くの企業にとって、オフィススペースは最大の固定費である。オフィススペースを撤去したり、縮小したりすることができれば、その節約効果は絶大なものになる。
優秀な社員を引き留め、惹きつける
多くの企業に衝撃を与えたのは、コロナ危機でテレワークを許可された従業員の大多数が、実際にはオフィスにいるよりも仕事を楽しんでいるという事実である(産経)。
労働人口が年々減少している日本では、優秀な人材がすでに不足しており、魅力的な企業であることは、生き残りをかけた企業にとって非常に重要である。 以前は、「フレックスタイム制度」を有する企業には「自由な労働環境」があるとアピールできる風潮があった。今後は、企業が真に従業員にとって魅力的であり続けるためにはテレワークポリシーを持たなければならない。
まとめ
コロナウイルスは社会に甚大な不利益をもたらした。今後もウイルスで得られた利点があったとしても、不利益に勝る事はない。それでも、日本企業が目を覚まさざるを得ないきっかけにはなったかもしれない。
社員がどう行動するかではなく、何をするかで評価される時代がきたのだ。テレワークを導入する事は当たり前になっていき、その変革を拒む企業は自社のコスト構造の重さに押しつぶされ、効率性は落ち魅力も消滅するだろう。
だからこそ、日本企業は今、2つの選択肢の間に立っていると言える。テレワークを導入するか、それとも滅びるかだ。