GISでマラリアの研究をしていた新卒エンジニア
2023-04-06
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自己紹介

はじめまして、23年度入社の幸村龍之介です。

現在23歳です。学生時代はTEDxの運営をしたり、留学生寮に住んでいたり、翻訳系のことをしたり、技術系以外にもいろいろやっていました。

技術ではアルバイトでシステムでつくったり、教育系の会社のグループに所属して、画像認識の技術で開発をしたりしていました。

とりあえず今回は大学での研究の概要について話していこうかなと思います。ほかのことはまたの機会に

研究について

自分は研究で人工衛星からコンゴ民主共和国のとある地域でのマラリアのリスク予測を行うという研究をしていました。

人工衛星って言われると大層なものと感じられる人もいるかもしれませんが、実際には僕たちが普段テレビやスマホでチェックするような気象情報、人工衛星の画像から撮影した建物から予測される人口分布などから人がマラリアに感染しすいかと予測するというものです。

例えば、マラリアを媒介する蚊はみなさんが想像できるように高温多湿を好むわけです。ほかにも生息できる標高の限度というものが存在します。つまりは、気象データ、標高データによっては蚊が発生しやすい地域が分かり、そこに人口が多ければ、リスクが増えたりするわけです。このパターンを数学的に解析し、モデルを構築していくというプロセスで研究していました。

マラリアとは

マラリアの患者数って2021年度で言うと2.47億人いるんです。これってすごい数字ですよね。日本の人口が1.2億人なので、その二倍以上、世界で見ると2.47億/80億人で全世界の3%がマラリアにかかったことになります。これが毎年と考えると。。。

そんなマラリアの予防、対処の準備を行うにはマラリアの予測を高解像度かつ高時間分解能(短いスパン)で行えることが重要なんです。そこで、この研究をしていたわけです。

GISとMCE

今回のように世界の地理情報をもとにいろんな予測や情報の可視化などを行うシステムのことを地理情報システム(GIS:Geographic Information System)と呼びます。みなさんがよく使うGoogle Mapとかもこの一種です。この定義について詳しくは国土地理院のサイトをご覧ください。

研究ではこのGISに加えて、多基準評価(MCE:Multi Criteria Evaluation)というものを利用しました。これはとある目的のためにさまざまな評価項目で複数の案を評価していき、最適な案を決定するために使われる分析手法です。

身近なGIS×MCE

ここまで読んで、難しそうなことしているなと思うかもしれませんが、このGIS×MCEって案外身近なもので誰しもが一度は行ったことのあることだ思います。

たとえば、新生活をしていくうえで、引っ越しをされた方もいた思います。

その際にいろんな評価項目があると思います。駅から何分か、家賃はいくらか、近くにスーパーはあるか、会社からどれくらいの距離にあるかなどなど。これらの情報が地理情報になるわけです。これらの情報の中から優先順位があなたの中にあると思います。その優先順位、情報の内容を総合的に判断をして、この家がいいとなる思います。

ただいま、あなたはGIS×MCEを行いました。こう考えると結構身近じゃないですか?


 最後に

まぁ実際にはマラリアの予測をするにはもう少し複雑なことを研究として行っていて、ほかにもかなり大規模のデータを扱っていたのでその処理の高速化を図ったりいろいろしていたわけですが、それらについてはまた次回として、とっつきやすいものであるとわかったのではないかなと思います。GIS以外の分野でもMCEの考え方を使えるので、仕事などでも使ってみてください。