【もっふん】逸脱の常態化について
2023-04-06
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はじめに

こんにちは。須山颯己です。

自己紹介でも言った通り私はコードが書けないです。

つまり先輩や同期みたいに、技術のことが話せません。

なので今回は、高専時代に受けた科学技術史で一番印象に残っている言葉「逸脱の常態化」について話します。

水俣病

水俣病とは熊本県水俣湾周辺の化学工場などから海や河川に排出されたメチル水銀化合物により汚染された海産物を住民が長期に渡り日常的に食べたことで水銀中毒が集団発生した公害病です。

症状

水俣病(メチル水銀中毒)の主な症状としては

  • 転びやすい
  • 言葉がはっきりしない
  • 真っすぐ見た時に、周辺が見づらい
  • 身体に痺れがある
  • 音を聞き取りにくい
  • 相手の言うことが聞き取りにくい
  • 軽傷の場合耳鳴り、頭痛、疲労感で収まる

症状が重篤な時は狂騒状態から意識不明で亡くなることもある。胎児性水俣病の場合は、脳がうまく発育せず亡くなった赤ちゃんもいれば、生まれたとしても生まれながらにして水俣病の被害者になった赤ちゃんもいた。メチル水銀中毒などの中枢神経系の障害は完治が難しく、痛みの緩和や身体の機能のリハビリテーションが治療のメインとなる。遺伝することやうつることはない。

原因

前述で話しましたがここでは詳しく話します。

引用:最も解りやすい?水俣病問題の概要とブルーライト問題 現在の状況を比較 - ブルーライトが人体に与える影響と対策 (hatenablog.com)

そもそも水俣病の原因であり、有害物質であるメチル水銀を海へ流し続けたのはチッソという会社です。チッソがどういう会社で、なんでメチル水銀が出たかは皆さんに調べていただいて、簡単に言うと

「チッソはすごい会社で、水銀触媒によるアセトアルデヒド製造を1932年に始めたよ」

ということです。そして1945年に工場の排水を無処理で水俣湾へ排出をしました。川に流れたメチル水銀をプランクトンがえら呼吸の過程で取り込んでしまいます。そのメチル水銀入りプランクトンを小魚が食べ、メチル水銀入りプランクトンを食べた小魚を魚が食べ、メチル水銀入りプランクトンを食べた小魚を食べた魚を大きい魚が食べ、メチル水銀入りプランクトンを食べた小魚を食べた魚を食べた大きい魚を人間が食べたことでメチル水銀中毒となりました。

逸脱の常態化

ではどうして「1945年に工場の排水を無処理で水俣湾へ排出をしました。」という行動を起こしてしまったのでしょうか。その原因こそ「逸脱の常態化」です。

1932年時点からメチル水銀を流していたわけではありません。メチル水銀は出てきてしまったら法律で定められている処理方法で処理(無害なものへの変換し専用のタンクに保管)を行う必要があります。この処理の作業、有害物質を無害にしているのでその分お金がかかるわけです。

会社の景気が良ければ処理に使うお金を払えるが、景気が悪くなれば払えなくなるわけです。

景気が悪い時に節約できるものに、処理に使うお金が挙げられてしまいます。

そこで考えるわけです。どうすれば処理のお金を減らすことができるのか。処理の方法は法律で決まっているため方法の改善は難しい。「そうか、処理をする量を減らせばいいのか。」

でも、処理する量を減らすということは生産量も減ってしまうということになります。

勘のいいひとはもうわかっていると思いますが、

今まで :生産10 処理10

これから:生産10 処理9 川に直接メチル水銀を流す1

を行ったわけです。

こうなると前述の原因の内容が起きていることになり人間に害が及ぼされていると思いきや

「軽傷の場合耳鳴り、頭痛、疲労感で収まる」

これにより風邪と勘違いされました。

町に被害が出ていないことを知ったチッソは

     生産10 処理9 川に直接メチル水銀を流す1

     生産10 処理8 川に直接メチル水銀を流す2

     生産10 処理7 川に直接メチル水銀を流す3

     生産10 処理6 川に直接メチル水銀を流す4

              ・

              ・

              ・

     生産10 処理0 川に直接メチル水銀を流す10

そして1945年を迎えるわけです。

「逸脱の常態化」は法律などで定められた基準から逸脱した行為が、部外者の眼に触れぬまま巨大システムを破局にいたるまで劣化させる過程のことを言います。水俣病に関しては、川に直接メチル水銀を流すという行為を部外者が気づけなかったことが逸脱の常態化を引き起こした原因の一つである。

リタ・カニスカから学ぶ法律のあり方

      法とは王を穿つ矛 法とは民を守る盾 なればこそゴッカンは不動なり 

                地が裂け、天が降ろうともこのリタ・カニスカは揺るがない。

                                   ーリタ・カニスカー

ただいま絶賛放送中の「王様戦隊キングオージャー」の5話で登場人物の一人、氷雪の国「ゴッカン」(国全体が裁判所兼監獄)の国王兼国際裁判所最高裁判長のリタ・カニスカが放った言葉です。

法律とはもちろん民を裁くものでもあるが同時に王(政治、警察)を裁くものでもあり民を守るものでもある。

だからこそ裁判所は中立でなければならない。

たとえ天変地異で裁判所がなくなっても最高裁判長の私は中立でいる。

という個人の見解です。

今回の水俣病でいえば逸脱の常態化は盾を錆びさせているようなものです。

いくら法律を守っていると会社が言い張っても、盾が錆びあろうことか民が苦しんでいるのを見逃さないような法を中立の立場から制定するべきでした。

最後に

王様戦隊キングオージャーはテレビ朝日・毎週日曜午前9:30から放送中です。

ワンピースといっしょに見れないの辛すぎ