利他の心と人としての道理──学びを重ねる中で気づいたこと
2025-09-05
azblob://2025/09/05/eyecatch/2025-09-08-altruism-and-human-decency-000_0.png

FIXERのテクノロジー・サービスに関わる人材には、高い専門性とともに、人間としての器の大きさが求められます。何歳になっても、人は学び続ける生き物です。頭では理解していても、実体験として血肉になるには、痛みを伴う試練を乗り越える必要があります。この記事では、社会人としてまだまだ若輩者の私が最近経験した出来事を通じて、ビジネスマンとして、ひいては人としてあるべき利他の心と道理の重要性について考えます。
 

自分の未熟さを痛感した出来事

当社では比較的ハイレイヤーの仕事を任せていただくことも多い一方、社会人としての経験値はまだ富士山でいうところの3合目程度です。そのため、日々反省や学びがあります。ある大型提案の準備では、自分が担当すると決めたにもかかわらず、他業務に追われ優先順位を見誤り、提出期限ぎりぎりになってクオリティが十分に上がっていない状態でタイムアップを迎えてしまいました。

当然ながら上司や同僚から厳しい指摘を受けましたが、ここからが本題です。実はその日、外せない重要なご縁があり、30分でも顔を出したいイベントがありました。ですが、提案書を仕上げるには最後の踏ん張りが必要でした。結果的に、ほぼ完成した段階で顔出すために時間切れとなり、その後はサポートしてくださっていた上席の方々が何も言わずに仕上げと提出を行ってくれました。私はチャット上でそれを目にしながらも、感謝のメッセージや直接のお礼といった人として当然のプロセスをすぐに取ることができませんでした。この瞬間、自分が周囲の支えに甘え、人として通すべき筋を通していなかったことに気づかされました。逆説的に言えば、そんな中でも文句ひとつ言わずに対応してくださる素敵な仲間がいることにも気づかされました。
 

学び:信頼は意図と行動から生まれる

ハーバード・ロースクールのフォーラムによると、信頼とは「他者が善意を持ち自分に対して良い行動をすると信じることで、相手の行動に対して脆弱になる意思」であり、単なる感情ではなく企業にとって重要な資産であると指摘されています(ハーバード・ロースクール・フォーラム)。信頼は組織内外で築かれ、破られると大きな損失を招きます。この信頼を築く要素として、専門家は「コンピテンス(言ったことを実行する能力)」と「意図(利害関係者の願いやニーズを真摯に考え、透明性を持って行動すること)」が重要だと述べています(ハーバード・ロースクール・フォーラム)。

今回の私の失敗は、この意図と行動の両面で未熟さを露呈したものでした。任せられた仕事をやり切るというコンピテンス、周囲への感謝や配慮を示すという意図、そのどちらも十分ではありませんでした。しかし、上司や同僚は黙ってフォローし、プロジェクトを完遂してくれました。利他の心で接してくれたその姿勢に救われると同時に、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉の重みを痛感しました。人の優しさに甘えることの怖さと、自身の至らなさを受け入れることは苦い経験ですが、その痛みこそが学びを自分の血肉に変えてくれます。

推測と提言

ここからは私の推測になりますが、こうした出来事は世の中の多くの職場で起きているのではないでしょうか。忙しさに追われ、目の前のタスクをこなすことで精一杯になり、周囲の支えや気遣いへの感謝を後回しにしてしまう。しかし、信頼は意図と行動の積み重ねから生まれる(ハーバード・ロースクール・フォーラム)以上、利他の心を忘れた振る舞いは関係性を損ないます。私自身、この経験をきっかけに、どんなに親しい間柄でも礼儀を尽くし、支えてくれる人々に対して感謝と尊重を示すことを強く意識するようになりました。

おわりに:利他の心を胸に

人は何歳になっても学び続ける存在です。痛みを伴う失敗の中でこそ、学びは深く根付きます。利他の心と人としての道理を胸に、周囲への感謝を忘れず、約束したことをやり切る姿勢を貫くことで、信頼は育まれます。これからも地道に信頼を積み重ね、周囲とともに成長していくことを目指します。

この学びが社内外の仲間たちに少しでも前向きなマインドセットをもたらし、共に利他の精神でより良い未来を築くきっかけとなれば幸いです。