炎上は「宝」なのか──プロジェクトが燃えた先に見えた構造の綻び
2025-10-30
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誰も望まない「炎上」。けれど、その混乱の中には、組織が成長するための構造のヒントが隠れています。

プロジェクトを進めていると、
スケジュールの遅れや要件変更など、思いどおりにいかない場面が必ずあります。

炎上は誰も望みません。
しかし、避けて通ることもできません。

僕もこれまで、いくつかの炎上案件を経験してきました。
その最中はとても「宝」なんて思えません。
けれども振り返ると──あの混乱の中でしか見えなかったことが確かにありました。

最近、エンジニアの友人が言った言葉が印象に残っています。

「炎上は宝ですよ。」

その一言をきっかけに、
“炎上をどう扱えば組織は前に進めるのか”をあらためて考えてみました。


仕組みの綻びが表に出る瞬間

炎上の瞬間、普段は見えなかった仕組みの綻びが一気に表に出ます。
意思決定の遅さ、情報共有の滞り、役割の偏り。
こうした問題は、平常時にはなかなか気づけません。

私たちが業務を進める中でも、
問題が起きて初めて、どこが詰まっていたのかが見える。
炎上は、構造を可視化する“組織の健康診断”のようなものだと感じます。


炎上が示すのは「人」の本質

現場が燃えると、人の動き方が変わります。
タスクが崩れた瞬間に黙って拾う人。
冷静に優先順位を整理して全体を見直す人。
あるいは、プレッシャーに耐えきれず距離を置く人。

こうした行動の差が、チームの信頼関係や実際の役割分担を映し出します。
炎上対応の中で得られるこの“人のデータ”は、
チーム設計を見直すうえで貴重な材料になります。


炎上は、再設計のチャンス

ほとんどの炎上は「誰かの失敗」ではなく、
「想定していたけれど、対応が追いつかなかった」ことから起きます。
だからこそ、炎上のあとには再設計のプロセスが必要です。

  • どの情報が遅れたのか
  • どの判断が迷ったのか
  • どの工程で摩擦が生まれたのか

これらを丁寧に振り返り、仕組みに還元すれば、
同じ炎上は繰り返しません。


炎上を恐れず、早く発見できる文化へ

炎上をゼロにするのは理想ですが、
挑戦がある限り、リスクはゼロになりません。
大切なのは、「炎上を防ぐ文化」ではなく、
「炎上を早く見つけ、立て直せる文化」を育てることです。

プロジェクトの進行状況を見える化し、
小さな異常を早期に共有する。
その積み重ねが、次の炎を大きくしない一番の方法です。


「炎上は宝」──起きた火を次に使える組織が強い

炎上は良いことではありません。
しかし、その中には次の成長につながる素材があります。
火を完全に避けることよりも、
燃えた跡をどう使うかが組織の成熟を決めます。

炎上を宝に変えられるチームは、
挑戦を止めずに前に進めるチームだと思います。