プロジェクトで経験したこと
私は現在、お客様が「生成AIサービスを活用し、自走して課題解決ができるようになる」サポートをするプロジェクトを行っています。
現地で、生成AIを使うサポートを行っており、セミナーやワークショップを行う機会がありました。
私が担当したのは、先方の役員への活動報告と、先方職員への生成AI講座です。どちらも発表という形でしたが、対象者の違いによる、適切な発表方法の違いを痛感しました。今回はこのような貴重な経験をもとに、発表の対象別アプローチ方法についてお話していきたいと思います。
一言でまとめると、
- 役員向け:短時間でインパクトを与えるデモ形式
- 職員向け:自ら使えるようになる講座形式
です。それぞれ詳しく説明します。
役員がもとめているものとは
今回のプロジェクトでは、まず役員方に向けた発表を行いました。役員方に響く発表を作るためには、彼らが何を知りたいのか、何に価値を感じるのかを理解することが欠かせません。
一般的に役員方が特に求めているのは、次のようなポイントです。
- 成果の明確化
これまでの取り組みで何が達成されたのか、どんな変化があったのかを端的に示すこと。数値や具体事例があると説得力が増します。 - 戦略的価値
この施策が組織の長期的な方向性や目標にどう貢献するのか。他部門や他自治体への展開可能性も重要な評価ポイントです。 - 投資対効果(ROI)
投じたコストに対して、どれだけの効果が見込めるのか。時間削減、コスト削減、売上増加など、できる限り定量的に示すことが求められます。 - リスク対応
セキュリティや運用上のリスクにどう対応しているか。万一のトラブルに備えた予防策があるかも確認されます。 - 次のアクションプラン
今後の展開計画やスケジュール、必要な支援や承認事項を明確に提示すること。
役員方が求める情報は多岐にわたりますが、今回の経験で感じた、最終的に知りたいことは非常にシンプルです。
「この取り組みから、どんな価値が生まれるのか」
デモ形式は、その価値を短時間で直感的に伝えるための最良の方法でした。役員の方々からは、「これはできる?」「こんなことはできる?」と様々な要望をいただき、それに対してデモでお見せする形でした。
実際に動く様子を見せることで、資料や説明以上に強い納得感と期待感を生むことができました。
職員がもとめているものとは
職員向けの発表では、内容を講座形式にしました。これは、職員が求めていることが役員方とは大きく異なるからです。職員が特に必要としているのは、次のようなポイントです。
- 具体的な活用方法
ツールや仕組みが「何をできるか」よりも、「自分の業務でどう使えるか」を知りたい。 - 操作の習得
実際に手を動かして使えるようになること。ステップごとの説明やハンズオンが効果的です。 - 成功体験
短時間で成果物を作る経験があると、利用意欲と自信が一気に高まります。 - 業務改善の実感
日報作成時間の短縮や企画書作成の効率化など、日々の業務での変化を体感できること。
職員が最終的に求めているのは、
「どうやって自分の仕事で活用できるか」
です。
これらのことを理解しておきながらも、今回の講座では、反省点が多くありましたので、振り返っていきたいと思います。
発表の振り返り
役員方への発表を振り返って
- +αの解説をうまくできなかった
役員方の要望に対して、価値を広げる追加解説をするタイミングがありましたが、うまく対応できませんでした。
役員方が「面白い」「なるほど」と感じるような、戦略的・未来志向の視点を盛り込むべき場面を逃してしまいました。
職員方への発表を振り返って
- 仕事への活用イメージを十分に伝えられなかった
講座形式で知識や操作方法は説明しましたが、「自分の業務でどう使えるか」という具体的な場面を十分に示せませんでした。結果として、参加者が日常業務に落とし込むイメージを持ちづらかったと感じています。 - 講師が一方的に知識を与えてしまった
実習よりも説明が中心となり、参加者が手を動かして試す時間が不足していました。双方向のやり取りや参加者の発想を引き出す場が少なかったことが課題です。
改善点
- 相手が「持ち帰れる価値」を必ず提示する
- 役員方には戦略や意思決定の材料。
- 職員方には業務にすぐ使えるテンプレートや成果物。
→ 発表を「聞いて終わり」ではなく「次の行動につながる」ものにする。
- 一方通行ではなく双方向のやり取りを組み込む
- 質問やディスカッションを入れ、聞き手の反応を踏まえて内容を調整。
- 参加者の発想や意見を引き出すことで、理解と納得度が高まる。
- 発表の目的を明確にして形式を選ぶ
- 「価値を見せる」ならデモ形式。
- 「活用方法を育てる」なら講座形式。
→ 目的と形式を一致させることで、伝わり方と効果を最大化できる。
まとめ
このような経験を通じて、発表は相手によって形式や伝える視点を変えることが重要だと改めて実感しました。
役員方には「価値を見せて納得させる」デモ形式、職員方には「活用方法を育てる」講座形式が効果的である一方、それぞれに課題もありました。
今後は、相手が持ち帰れる具体的な価値を必ず提示し、双方向のやり取りを取り入れ、発表の目的に合った形式を選ぶことを徹底していきたいです。
これにより、聞き手にとって意味のある発表を行い、プロジェクトの成果をより確実に広げていけると考えています。
長文を読んでいただきありがとうございました。






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